欠乏感が判断・選択を狂わせる?貧しい人がますます貧乏になってしまうメカニズム-合理的な選択をして幸せに生きる方法29

メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。

後悔しない超選択術

今回はその29回目です。

前回は、「後悔しない選択」をするための5つのトレーニング法の5つ目「コアバリューノート」についてお話ししました。

「コアバリュー」とは「自分にとって最も大切なこと」を指します。
そのコアバリューをノートに書いて意識し、長期的な視点から物事を選択できるようにするのが「コアバリューノート」です。

コアバリューノート、実践の4ステップ

コアバリューノートを実践するためのステップを、以下の4つでご紹介しました。

  1. 自分が大切にしていきたいことを1つ書き出す
    「家族を大切にしたい」「仕事を充実させたい」など、ワクワクするようなことを挙げてみます。
  2. 3つの出来事を書き出す
    1日を振り返り、充実した・嬉しかった・楽しかった、と思えた出来事を3つ 書き出します
  3. 「その日、人生で大切にしていきたいことのために取った選択と行動」を書く
  4. 書き出したことをチェックし、必要であればコアバリューを再設定する
    2ステップ目に書き出した「3つの出来事」とコアバリューとが噛み合わなければ、そのコアバリューは、本当は自分には必要でないものかもしれません。
    その場合はコアバリューを再設定し、また、コアバリューに沿う選択・行動を予定に組み込むようにしましょう

「自分にとって大切なことはなにか」を書くことでそれを意識でき、選択する際の基準が明確になります。

仮に「子供と過ごす時間」をコアバリューにしていた場合、コアバリューを意識する前は仕事の依頼を安易に引き受けてしまっていたのに対し、

「ほかの仕事もつまっているので、これを引き受ければ、まずます子供と過ごす時間が取れなくなってしまう」

と考えて、「ここは引き受けるべきではないな」と決断できることもあるでしょう。

仕事を引き受けるか子供と過ごす時間を優先するか

※コアバリューを意識していれば、先を見据えた選択ができるようになる

このように、コアバリューをもとに選択すれば、感情に流されることなく本当に大切な選択ができるようになるのですね。

前回の詳細はこちら

これで後悔しない!「コアバリューノート」を使った、後悔しない選択をする4つのステップ-合理的な選択をして幸せに生きる方法28
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今回は、コアバリューの重要性に関連して、欠乏感がもたらす非合理な選択と、その対処法をお話ししていきます。

  • 「後悔しない選択」をするためのトレーニング法-5つのキーワード
    1. 感情知性
    2. 1日再構成法
    3. トーナメント方式
    4. プチ断食
    5. コアバリューノート

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「後悔しない選択」をするための5つのトレーニング法

欠乏感が判断・選択に与える影響

貧困状態が判断力・選択する力に与える影響とは?

コアバリューがいかに重要であるかは、貧困問題の研究からも浮かび上がってくる、と指摘されています。

2004年、ハーバード大学のセンディル・ムッライナタン教授がインドの貧しい農家500世帯を対象に、IQ調査を行いました。

調査の目的は、貧困が「選択する力」に与える影響を調べることです。

調査対象となったインドの農家の人々は、サトウキビを主な農作物として育てていて、収穫後の入金が遅れれば、すぐに生活必需品を質に入れなければならなくなるほど困窮している状態でした。

そんな農家を500世帯に分けてIQテストを実施したのです。

すると、サトウキビの収穫前でお金がないときと、収穫後の入金があって、多少の余裕があるときとで、同じ人のIQポイントに大きな差が出ていました
お金に心配があるときは、9~10ポイント低くなっていた、といわれています。

お金に心配があるときは具体的にどんな状態かというと、徹夜後の状態の80%程度しか脳が働いていない状態です。

つまり、困窮している人は常に徹夜明けの状態で物事に向き合っているということですね。そんな状態では、当然、適切な判断はできないでしょう。

結果として、お金の心配がある人ほど、貧困から抜け出すための判断ができず、より不幸になる選択をしてしまいます。
コアバリューを考える余裕などはまったくありませんね。

貧しいにもかかわらず、ギャンブルなどムダなことにお金を使い、借金が膨らむ。その借金をギャンブルで解決しようとして、さらなる深みにハマってしまう…。

第三者が見れば、そんなことをすれば生活がより苦しくなるのは明らかなのですが、
本人は脳の機能が低下しているため、まともな判断ができず、誤った選択を繰り返してしまうのです。

これは、貧困状態の人そのものに問題があるというより、貧困からくる不安や心配による判断能力・選択力の低下に問題があるといえるのでしょう。

時間的な欠乏も判断力にマイナスな影響をもたらす

お金への欠乏感だけが選択力にマイナスな影響を与えるだけでなく、時間に対する欠乏感もまた、思考に圧力をかけ、合理的な選択をすることに負の影響を与える可能性があります

例えば、そろそろ結婚しないといけないと焦っていると、どう見ても結婚には向かない異性を選んでしまう人がいます。

そのことからは、時間に対する欠乏感によって判断力が低下していることが見てとれますね。

欠乏感を抱いているときは、脳の機能が停止している?

医療機器を用いた脳の調査によると、強い欠乏感を抱いているときは、前頭葉の前頭皮質(合理的な判断を行う脳の領域)の機能が停止した状態になっていることもわかっているそうです。

時間やお金が足りないと焦っているときには、目の前の非合理的な選択肢に飛びついて、後悔してしまう可能性が非常に高いといえるでしょう。

そういうときに備える意味でも、コアバリューを意識して長期的な視点・広い視野を持ち、それをもとに選択をする力を身につけておくことは大切なのですね。

 

次回は、「後悔しない選択」をするためのトレーニング法の締めくくりとして、「自分を変えるための10%ルール」をご紹介していきます。

まとめ

  • ハーバード大学のセンディル・ムッライナタン教授の、インドの貧しい農家を対象にした調査により、困窮してお金に心配があるときほど、IQのポイントが減少し、判断力に悪影響が出ることがわかりました
  • お金に心配がある人ほど、貧困から抜け出すための合理的な選択ができず、目の前の安易な選択肢に飛びつき、より不幸になる悪循環に陥ってしまいます。金銭に対する欠乏感だけでなく、時間への欠乏感も同様に合理的に選択することに負の影響を与えることもわかっています
  • コアバリューを意識し、広い視野から選択する力を身につければ、欠乏感による誤った判断・選択を防ぐことが可能となるのです

続きの記事はこちら

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後悔しない超選択術スキルアップ術
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この記事を書いた人
南 雄一郎

スキルアップ!勉強会 主催者。
2014年から都内のカフェでコミュニケーションのスキルを上げるための勉強会を開催していました。
2016年からは、対人関係でのスキルを心理学から学ぶ勉強会をメインに開催しています。
勉強会の開催数は累計200回以上です。

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