メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその23回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の最後のバイアスである“メモリーバイアス”についてお話ししました。
メモリーバイアスは、過去の歪められた記憶にとらわれ、非合理的な選択をさせてしまう働きをいいます。
たとえば、電車で乗り過ごしたときのことを思い出してもらうと、ほとんどの人が“自分にとって最悪の乗り過ごした経験”を思い出す、といわれています。
乗り過ごしたものの、それほど悪い事態にならなかったことも数多く経験している中、なぜ「最悪の記憶」を呼び起こしてしまったのでしょうか。
それは人類が生き延びるために、特に危険が迫った経験を強く・長く記憶にとどめておく必要があって、そうした記憶の積み重ねによって 私達の脳は嫌な記憶ほど残りやすくなったからなのです。
さらに、この脳の機能によってネガティブな事態が強く記憶に残ると、その事態の前後の人・ものも、ネガティブなものとして記憶されてしまいます。
これらの悪い記憶によってやる気を失ったり、悪い記憶と結びついた特定の人や場所を避けようとして不合理な選択をしてしまったりするのが、メモリーバイアスの働きなのですね
前回の詳細はこちら

では、メモリーバイアスに惑わされずに、合理的な判断をしていくにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、メモリーバイアスへの2つの対処法をご紹介していきます。
スポンサーリンク
後悔しないための“メモリーバイアスへの2つの対処法”
メモリーバイアスへの対策として、ハーバード大学の研究チームは2つの提案をしているそうです。
対策① 最高の体験・最悪の体験のどちらかしか思い出していないのではないか、と疑う
1つ目の対策が、自分が「最高の体験」、または「最低の体験」のどちらかしか思い出していないのではないか、と疑ってみることです。
意識的に複数の体験を思い出して、できるだけ記憶を平均化するよう努めることが勧められています。
サンプルを増やして、できるだけ客観視し、嫌な記憶のみからの影響を小さくしていきましょう。
対策② 記憶に関する日記をつける
対策の2つ目が、記憶に関する日記をつけることです。
日記帳でもスケジュール帳でも、オンライン上のサービスでも何でもよく、そこに毎日の記憶を箇条書きにしてメモすることが勧められています。
嫌な記憶や不快な思いをした記憶、あるいは嬉しいことや感謝の気持ちを抱いたことなどの覚えておきたい小さな出来事など、
極端にネガティブだったり、ポジティブだったりする記憶だけでなく、小さな記憶も箇条書きにしていくことで、記憶の平均化が進みます。
何よりもいいのが、書き記しておけば、あとで日記を見返すことで、
「まあまあだった記憶」
「そのときは嬉しかったけれど、忘れてしまった記憶」
なども思い返すことができることです。
いろいろな記憶を具体的に思い返せば、メモリーバイアスによって嫌な、悪い記憶だけを思い出して やる気が失われたり、挑戦することをやめたりしてしまう状況を避けられるでしょう。
最悪の記憶にとらわれた状態から自分を解放することができるのですね。
以上が、メモリーバイアスへの2つの対処法でした。
バイアスを避けるためのトレーニング
選択力を鈍らせる5つのバイアスとは何か、またそれぞれのバイアスへの対処法についてお話ししてきました。
最後に、日頃、バイアスを避けるためにできるトレーニング法をご紹介します。
トレーニング法① 楽観バイアス(計画錯誤)の回避法
「このくらいの作業なら、このくらいで終わるな…」と、予定を立てるために必要な時間を推定するときに、計画錯誤というバイアスがかかり、時間を軽く見積もるということが起こりがちです。
そこで、常に「見積もりは2回」というルールを設け、時間の見積もりの実践をしていくことが勧められています。
具体的な方法として、まず1度目の見積もりをし、2度目の見積もりをするまでには時間をあけること。
いったん仮決めをしたら、1時間ほど間をあけて、再度 見積もりをします。すると、バイアスによる時間の見積もりの歪みに気づけるようになります。
トレーニング法② 確証バイアスの回避法
「あの人はこんな人だ」
「私にはできない」
などの先入観が正しいと思い、自分の正しさを証明してくれるような情報ばかりに目がいき、自分にとって都合の悪い情報は無視してしまうのが「確証バイアス」でした。
その「確証バイアス」を避ける方法として、複数のサンプルを持つなど以外の方法で、さらに2つが紹介されています。
1 先入観の原因を探る
「あの人(物)そのものが嫌い、イヤ」という先入観の、原因となったものを探ってみましょう。
原因を探らなければ、その先入観が払拭されることはありませんね。
すぐに「嫌だ」とはねつけるのではなく、原因を探ることで、実は些細なことがきっかけで嫌になったことがわかることもあり、先入観の克服につながります。
2 体験する
子供の頃から苦手意識があって食べられなかったものが、大人になって食べてみたら おいしかった、という経験をしたことがある方も多いと思います。
ちょうどそのように、「苦手だ」「自分には無理」と思っていたことでも、一度でもやってみると、意外にできることは多いものです。
できない理由をいろいろ探したい気持ちを抑えて、まずやってみる。それがバイアス克服の突破口となるのですね。
次回は、「後悔しない選択」をするための5つのトレーニング法をご紹介していきます。
まとめ
- 最悪の記憶だけを思い出して、それにとらわれてしまうのがメモリーバイアスです。そのメモリーバイアスの対処法として、以下の2つをご紹介しました
- 最高の体験・最悪の体験のどちらかしか思い出していないのではないか、と疑う-
記憶のサンプルを増やすことで、嫌な記憶のみにとらわれにくくなります - 記憶に関する日記をつける-
いろいろな出来事を書き記すことで記憶の平均化が進むとともに、あとで見返して思い返すことで、メモリーバイアスにとらわれた状態から解放されます
- 最高の体験・最悪の体験のどちらかしか思い出していないのではないか、と疑う-
- バイアスを避けるためのトレーニング法として、以下をお話ししました
- 楽観バイアス(計画錯誤)の回避法-常に「見積もりは2回」というルールを設け、間をあけて2回目の見積もりをする
- 確証バイアスの回避法-先入観の原因を探る・体験する
続きの記事はこちら

スポンサーリンク