メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその22回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の、“正常性バイアスの落とし穴から逃れるためのテクニック”についてお話ししました。
正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報は無視してしまうバイアスのことです。
正常性バイアスが働くと、「自分だけは大丈夫。今回のことも問題ない」と判断してしまい、災害に巻き込まれたり、詐欺に引っかかったりするなど、取り返しがつかない状況に陥ることもあります。
ではその正常性バイアスの落とし穴から逃れ、合理的な判断をするにはどうすればいいかについて、「WRAP(ラップ)」をご紹介しました。
「WRAP(ラップ)」とは、
- 選択肢を広げる(Widen Your Options)
- 仮説の現実性を確かめる(Reality Test Your Assumptions)
- 決断の前に距離を置く(Attain Distance Before Deciding)
- 誤りに備える(Prepare To Be Wrong)
のことで、
「~するか、しないか」という二択の問いに対し、まず、リスクや手段などを考えて「①選択肢を広げる」ことで、正常性バイアスを働きにくくさせます。
次に「②仮説の現実性を確かめ」ます。過去の事例と比較して、自分が想定したリスクが実際にどれくらい現実味を帯びているかを考慮します。
そして、どちらかに決めるとなったときに瞑想する時間を10分間とるなど、「③決断の前に距離を置き」ましょう、と勧められています。
また、決断の前にあらかじめ「最悪の事態が生じたときに次に何をすべきかを考えておく」、すなわち「④誤りに備えて」おくことで、さらなる悪い事態に直面することを避けられるのです。
前回の詳細はこちら

今回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の最後「メモリーバイアス」についてお話ししていきます。
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選択力を鈍らせる5つのバイアス
5つ目の落とし穴-メモリーバイアス
5つ目のバイアスとして紹介されているのが「メモリーバイアス」です。
これは、記憶バイアスとも呼ばれ、私達の選択を誤らせてしまう原因の1つです。
過去に費やした(そして戻ってくることがない)お金や時間、労力にこだわることで、さらに損をしてしまう選択を引き起こすのはサンクコスト・バイアスの影響でしたね。
メモリーバイアスもそれによく似ているといわれます。
メモリーバイアスの場合、とらわれてしまうのは過去の記憶であり、それも歪められた過去の記憶です。
歪みのある過去の記憶にとらわれ、非合理的な選択をさせてしまうのがメモリーバイアスなのです。
これに関して、ハーバード大学で行われた研究が紹介されていました。
それは、地下鉄を使っている人を対象に
「自分が電車を乗り過ごしたときのことを思い出してみてください」
と質問をし、いつ・どんな思いになったときのことを思い出すかを聞く、というものです。
すると、質問をされた人のほとんどが、自分にとって“最悪の乗り過ごした経験”を思い出し、そのエピソードを語ったことがわりました。
乗り過ごした経験は何度もあり、確かに「最悪」とも思えるような ひどく後悔したこともある一方、乗り過ごしはしたものの、それほど悪い事態にはならなかったことも数多くあるはずです。
しかし改めて問われると、「最悪の記憶」を呼び起こしてしまうのですね。
この機能は、もともと人類が進化する過程で、災害や事故などの危険から身を守る防御としての役割を果たしてきた、といわれています。
常に危険と隣り合わせの狩猟時代には、獰猛な動物にどこで、どんなタイミングで襲われたのかということを覚えておかなければ、未然に危険を予測できず、自分も仲間たちも捕食されていしまいかねません。
そこで、特に 身に危険が迫った経験を強く、長く記憶に留めておくことで、先の危険に対処しすくなったのですね。
こうした記憶の積み重ねから、私達の脳は嫌な記憶ほど強く残りやすくなったのです。
無関係な2つをを結びつけてしまう?メモリーバイアスの弊害
このメモリーバイアスは、自然界では有益に働いていましたが、現代の人間社会では弊害のほうが多くなっている、といわれています。
たとえば、何かネガティブな事態が起きる直前に 人と会っていた場合、そのネガティブな事態だけが強く記憶に残るだけでなく、
「この人と会うと、嫌なことが起きる」
と、その事態の前後の出来事・人・ものも、ネガティブなものとして記憶されてしまいます。
あるいは、仕事で大きなミスをしてしまった場所に行くと、仕事のミスという嫌な出来事と その場所とを結びつけ、
「また失敗してしまうのではないか?」
と不安に思うこともあります。
悪い記憶ばかりを思い出して やる気を失ったり、因果関係のない人や場所とを結びつけて その人やその場所を避けたりするなど、未来に向けた選択に悪影響が及ぼされてしまうのが、メモリーバイアスの働きなのです。
ではこうしたメモリーバイアスに惑わされずに、合理的な判断をするにはどうすればいいのでしょうか。
次回は、メモリーバイアスへの2つの対処法をご紹介していきます。
まとめ
- 選択力を鈍らせる5つ目のバイアスが「メモリーバイアス」です。メモリーバイアスとは、歪められた過去の記憶にとらわれ、適切な選択ができなくなる働きをいいます
- 人類は 進化の過程で、身を守るために、特に危険の迫った経験を強く・長く記憶するようになり、そうした記憶の積み重ねで、私達の脳は嫌な記憶ほど強く残りやすくなりました
- メモリーバイアスには上記のような、危険を予測して未然に防ぐという役割はあるものの、現代では、無関係なものをネガティブな出来事に結びつけてしまうという弊害が生じています
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