メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその19回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の、サンクコスト・バイアスについてお話ししました。
サンクコストとは「埋没費用」のことで、「すでに支払ってしまい、もう戻ってこない費用や労力、時間」を指します。
このサンクコストに必要以上にこだわり、合理的に判断する力を鈍らせてしまうのがサンクコスト・バイアスです。
たとえば、
- 映画鑑賞:自分の趣味でなく、楽しめない映画だとわかったものの、チケット代がもったいないと思って、途中で席を立つことなく映画を見続けてしまう
- 公共事業の工事:完成してもその後ずっと赤字になることがわかったものの、その公共事業にはすでに何十億もの工費をかけてしまったゆえ、工事を中断させることができない
- 対人関係:好きな人の仲を進展させることは難しいとわかっても、これまでかけてきた時間やお金のことを無駄にしたくないと思って、アプローチをやめることができない
といったことを例として前回はご紹介しました。
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いずれもサンクコスト(かけてきたお金や時間、労力)はいったん棚上げして今後の選択肢を検討したほうが、よほど合理的な判断が下せるでしょう。
しかしサンクコスト・バイアスが働くことで合理的・論理的な判断を狂わせて非合理的な選択をしてしまい、やがては「これまでかけた費用にこだわりすぎて、さらに無駄に費用をかけてしまった。あのとき、別の選択をしておけばよかった」と後悔してしまうのですね。
前回の詳細はこちら

今回は、そのサンクコスト・バイアスをいかに適切に対処して、時間やお金をさらに無駄に費やすことなく後悔を避けられるのか。その具体的な方法をご紹介していきます。
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選択力を鈍らせる5つのバイアス
サンクコスト・バイアスへの対処法-マインドフルネス瞑想
このようなサンクコスト・バイアスを避ける方法について研究を行っているのが、フランスやシンガポールなどにキャンパスを持つ経営大学院・インシアードです。
インシアードの研究から、サンクコスト・バイアスの原因となっているのは過去へのこだわりであること、
ゆえにそれを手放すためには「過去ではなく今に目を向ければいい」ことがわかったそうです。
これまでに費やしてきたコストに目が向けば、どうしても「これだけのものを費やしてきたのだから、ここでやめたらもったいない」という思考に陥ってしまいます。
反対に、今に注目すれば過去を忘れ、合理的に判断する力が鈍るのを防ぐことができます。
では、過去ではなく今に注目するにはどうすればいいのでしょうか。
インシアードの准教授 ゾーイ・キアニス氏は、それには「マインドフルネス瞑想」が効果的である、と語っています。
マインドフルネス瞑想とは、呼吸をカウントしながら「いま、ここ」の状態に集中し、15分間行う瞑想のことです。
実際に、インシアードの研究で、被験者を「マインドフルネス瞑想を行うグループ」と「行わないグループ」とに分け、
「取引先に投資をするかどうか?」
「今後の休日に音楽フェスに参加すべきか?」
など、大小さまざまな選択をしてもらったところ、
15分間のマインドフルネス瞑想を行ったグループは、いずれの選択でも「長期的に見て、よい選択(=後悔しない選択)」ができるようなったそうです。
これは、マインドフルネス瞑想によって、今の状況に集中する能力が高まり、「これだけのものをかけてきて、途中でやめるのはもったいない」といった考えを手放すことができたから、と説明されています。
マインドフルネス瞑想によって今に集中すれば、サンクコスト・バイアスの悪影響を抑えられるのですね。
(このマインドフルネス瞑想は、世界有数の企業でも社員プログラムに取り入れられている、といわれています)
サンクコスト・バイアスの影響を和らげる、マインドフルネス瞑想の手順
それでは、マインドフルネス瞑想はどのように実践していけばいいのでしょうか。
マインドフルネス瞑想の実践方法が、以下の4つのプロセスに分けて紹介されています。
①意識を呼吸に集中
マインドフルネスとは、「今だけに集中している心のあり方」をいわれます。
椅子に座ったり、あぐらをかいたりして、意識を呼吸だけに向けます。
②雑念が浮かんでくる
意識を呼吸に集中させていても、時間の経過とともに雑念(「あれにこれだけの時間を使ってしまった」「こんなにも費用をかけてしまって、もったいない」など)が浮かび上がってきます。
③雑念と向き合う
呼吸に意識を向けているような リラックスした状態では、恐怖や不安といった感情に左右されることなくその雑念と向き合えます。
④意識を再び呼吸に集中
雑念と冷静に向き合えたならば、引っ張られた意識を再び呼吸に戻し、瞑想状態に入ります。
このような4つのプロセスを習慣化すると、サンクコスト・バイアスにとらわれにくくなるのです。
過去に投資したものへのこだわりが強まって、判断力が鈍りそうなときは、ぜひマインドフルネス瞑想を試され、サンクコスト・バイアスの影響を弱め、後悔しない選択につなげていただければと思います。
次回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の4番目である“正常性バイアス”についてお話しします。
まとめ
- サンクコスト・バイアスの原因は「過去へのこだわり」であるため、それを手放すには「過去ではなく今に目を向ける」ことです
- 今に注目する方法として勧められているのが「マインドフルネス瞑想(呼吸をカウントしながら「いま、ここ」の状態に注目する瞑想)」です。マインドフルネス瞑想を行うことで、後悔しない良い選択ができるようになることが実験でわかっています
- マインドフルネス瞑想の実践方法が4つのプロセスで教えられています
- 意識を呼吸に集中
- 雑念が浮かんでくる
- リラックスした状態で雑念と向き合う
- 意識を再び呼吸に集中
続きの記事はこちら

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