メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその18回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の、プロジェクション・バイアスへの対処法をお話ししました。
プロジェクション・バイアスとは、私達が未来の自分を想像するとき(自分はどんな気持ちになっているだろうか、という想像)、現在の感情をベースにして予想する現象をいいます。
たとえば、
- いまが幸せな気持ちであれば、幸せな状態がずっと続いていく
- 現在、気分が落ち込んでいれば、暗い気持ちがなくならない。ずっと苦しいままだろう
というような想像をするのは、プロジェクション・バイアスが働いているからです。
しかし、いまの自分の感情も、周りの状況も長続きはしないため、いまの感情をベースにした想像は正しいとはいえません。
誤った想像によって不適切な意思決定をしてしまい、後悔することにもなるのです。
プロジェクション・バイアスの克服法
そんなプロジェクション・バイアスを克服するには、「選択するときの状況と、その選択によって起こる未来の状況とをできる限り近づけること」といわれています。
具体的な方法として、たとえば、夕食の買い物をするときには、極度の空腹状態でないときにあらかじめ夕食のレシピを決め、買うべき食材をリスト化しておく、
レストランで一度に多くの料理を頼むのではなく、一品ずつ頼んで食べる、
このように平常時にやるべき行動を決めておいたり、一度にやろうとせずに、自分の状態を見ながら少しずつ行動したりすることで、誤った未来の想像に引っ張られることなく、適切な選択ができるようになるのです。
また、自分がまったく未経験のことについて、未来を想像して意思決定をする場合は、あらかじめやるべきことのプランを明確にするのは難しいでしょう。
そんなときの対策として勧めれているのが「読書(または、映画やドラマの視聴)」です。
小説やドキュメンタリーを読むことで、思いもよらぬ事態、最悪の状況に陥ったとき、人はどんな心情となり、どういった行動を取りがちなのかという「疑似体験」できます。
疑似体験をしておくことで、自分が同じような事態に直面したときに、行動プランを立てやすくなり、いまの感情からつくられた誤った想像による不適切な意思決定を防ぐことができるのです。
前回の詳細はこちら

今回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の3つ目「サンクコスト・バイアス」についてお話しします。
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選択力を鈍らせる5つのバイアス
③サンクコスト・バイアス
3つ目のバイアスが「サンクコスト・バイアス」です。
サンクコストとは「埋没費用」ともいわれる会計用語で、「すでに支払ってしまい、もう戻ってこない費用や労力、時間」のことを指します。
こうしたサンクコストにこだわって、合理的・論理的な判断を下せない状態にさせるのがサンクコスト・バイアスといわれています。
サンクコスト・バイアスの例① 長編映画
例として、長編映画を観に行ったときの判断が紹介されていました。
仮に、最初の15分ほどで自分の趣味ではなく、楽しむことができない作品だと気づいたとします。
そのときにあなたなら、どういった行動を取るでしょうか。
つまらない映画を観ることにこの先も無駄に時間を使ってしまうぐらいなら、映画のチケット代(1800円前後)は確かにもったいないけれど、さっと映画館を出て、別のことに時間を使ったほうがいい、という判断は合理的なものといえます。
しかし多くの人はすぐに席を立つことはせず、「チケット代を無駄にしたくない。この先、もしかしたら面白くなるかもしれない」と思って、映画を見続けるという、あまり賢明とはいえない選択をしがちでしょう(おそらく私自身も、なんとか元を取り返すために、映画を無理に楽しもうとすると思います)。
このような判断が、サンクコスト・バイアスのわかりやすい働きです。
サンクコスト・バイアスの例② 公共事業
他の事例として、総工費100億円のバイパス道路の建設が挙げられていました。
経済情勢や人口の減少を考えると、バイパス道路が完成しても、黒字になる可能性はなく、経済効果もあまりないとわかっても、すでに80億円をかけて8割方を建設した状態だとすると、工事をストップさせるのはもったいない、という思いが出てくるでしょう。
合理的に考えれば、たとえ80億円が無駄になっても、未来に向けての赤字が増えていき、80億円以上のマイナスを生むバイアス道路の建設は中止にすべきです。
しかし、80億円の埋没費用にこだわり、「80億円もかけたのだから、中断するのはもったいない」という、歪んだ選択をしてしまうのですね。
サンクコスト・バイアスの例③ 対人関係
また、対人関係でもこのサンクコスト・バイアスは働きます。
たとえば、自分が好意を寄せてアプローチしているものの、なかなか思いが通じない相手がいたとします。
これ以上、相手のために時間を使っても、仲が進展するわけではないとわかってはいても、「これだけ時間も労力も費やしてきたのだから、もう少しで関係がグッと深まるはず」という思いを捨て切ることができません。
客観的に見れば、「そんな人との関係は解消して、別の人との関係に時間を使ったほうがいい」とわかる状況だったとしても、当事者になると、あきらめきれずに見返りを求めるようになってしまうのですね。
これまでその相手との関係に費やした時間は返ってこない、いわば埋没費用です。その埋没費用へのこだわりが判断を狂わせ、さらに大きな損失を生む選択をさせるのです。
こうした埋没費用にこだわることなく、サンクコスト・バイアスの影響を弱め、合理的な選択をするにはどうすればいいのでしょうか。
次回、サンクコスト・バイアスへの適切な対処法をお話ししていきます。
まとめ
- すでに支払ってしまい、もう返ってはこない費用や時間などの埋没費用にこだわり、合理的な判断をさせなくなるのが「サンクコスト・バイアス」です
- サンクコスト・バイアスの例として、以下の3つをご紹介しました
- 長編映画-上映まもなく映画の内容が自分に合わないとわかっても、チケット代がもったいないと思って、そのまま映画を見続けてしまう
- 公共事業-明らかに今後赤字を生む建設とわかっても、完成までが近く、予算の半分以上の費用をかけた状態だと、中断をもったいないと思って建設を続けてしまう
- 対人関係-相手との仲が進展しないとわかっていても、ここでアプローチをやめると、かけてきた時間がもったいないと感じ、一縷の望みを抱いて関係を断ち切れない
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