メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその17回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の、プロジェクション・バイアスについてお話ししました。
プロジェクション・バイアスとは、私達が未来にどんな気持ちを抱いているかを想像するときに、今、この時点での感情をベースにして「未来はきっと、こんな気持ちや考えを持っているだろう」と予想する現象をいわれています。
「今はとても気持ちが明るいから、この先もずっと明るく過ごせる」、
あるいは「今、とても気分が沈んでいる。こんな気持ちがしばらく続くに違いない」のように予測するのは、プロジェクション・バイアスの影響といえるでしょう。
しかし、感情というのは長続きしないものです。また、今が幸せであるからといって不幸が起きないとも限りませんし、また今が苦しくても思わぬ幸運が起こるかもしれません。
ゆえに現在の感情をベースにして未来を予測するのは、まさにバイアスといえます。
けれど、わかっていても私達にはプロジェクション・バイアスが働いてしまい、その結果、必要以上に楽観的、あるいは悲観的になって、不適切な意思決定をし、後悔することになる場合があるのです。
(前回はそれについて、投資で成功して有頂天になった結果、自分に都合のいい未来が訪れると予想し、投資額を増やしすぎてしまう、
今が苦しい状態だと、状況を決してよくならないと予想してしまい、立ち直りが遅くなる、という例をご紹介しました)
ではそのプロジェクション・バイアスを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
それは、「選択するときの状況と、それによって起きる未来の状況をできるだけ近づける」ことであると、前回 ご紹介しました。
前回の詳細はこちら

今回は、選択するときの状況と、未来の状況をできるだけ近づけるための、具体的な方法をお話ししていきます。
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選択力を鈍らせる5つのバイアス
プロジェクション・バイアスの克服法
プロジェクション・バイアスによる選択の後悔について、前回は、空腹時の買い物の話をしました。
あまりに空腹の状態だと、「普段以上に食べないと満足できないだろう」と予測してしまい、その結果、どんどん商品を買い物かごに入れて買い過ぎてしまう、ということが起きがちです。
今の状態をベースに予測し、「いつもの食事の量では満足できない」未来を想像したことで、買い過ぎるという選択となったのですね。
このようなプロジェクション・バイアスによる適切ではない選択を避けるためには、「選択するときの状況と、未来の状況をできるだけ近づける」ことを実行してみましょう。
具体的には、あらかじめ夕食のレシピを決め、買うべき食材をリスト化してスーパーに行くようにしてみることです。

あらかじめリストを書いておくことで、空腹による衝動買いにブレーキをかけられる
こうすれば、今の状態に左右されることなく、適切な選択ができるようになりますね。
また、レストランに入るときも、かなりの空腹状態だと、「あれもこれも」と注文してしまい、頼みすぎたことを後悔してしまいかねません。

あれこれ頼み過ぎて、後悔しかねない…
そんなときは、一度に多くを頼むではなく、一品ずつ頼みながら食べてみるといいですね。
実少しお腹が満たされると、たくさん食べられるというのはいき過ぎた想像だった、と気づけます。
「空腹状態だと、注文した料理をすべて食べ切れるかどうかの想像がうまくできなくなる」と考えることで、一気に頼んでしまいたい気持ちを落ち着かせることができるでしょう。
投資でいえば、あらかじめ利確・損切りの基準を決めておくことで、「このいい状態がずっと続くに違いない」という、感情にもとづく根拠のない考えの影響を切り離すことができますね。
シチュエーションの変化を“読書”で疑似体験する
プロジェクション・バイアスの克服に関して、「勝って兜の緒を締めよ」の格言が引用されていました。
調子のいいときこそ初心に戻り、気持ちを引き締めて次の勝負に臨むべき、ということですね。
これぞまさにプロジェクション・バイアスから脱するのに有効な方法であり、多くの経営者が実践していることでもある、といわれています。
会社がうまくいっている、儲かっているときこそ、創業当時のような苦しい時期を思い出し、「今の状態がずっと続くわけではない。初心に戻って、改めて事業を向き合おう」と心がけられています。
そうすることにより、楽観的すぎる未来を想像して安直な選択に走ることを防ぐことができるのです。
しかし、これまで経験したことのないような、最悪とも思える状況(もしくは、何もかもがうまくいくような、あまりに順調な状況)に陥ったときはどうでしょうか。
そんなときは、次にどんな選択をすればいいのか、皆目わからないでしょう。
- 突然のモテ期に突入した
- 実直に働いてきた人が、突然、勤務先の会社が倒産の危機に瀕してしまった
など、思いも寄らない事態に直面すれば、高揚感からとっぴな行動を取ってしまったり、あるいは、今後の人生に絶望し、挫折の末に自殺を考えるようなことにもなりかねませんね。
思いもよらない事態に陥ったときは、あらかじめ基準を定めるなどの「選択するときの状況と、未来の状況をできるだけ近づける」ことも難しいでしょう。
そんなときの、あらかじめの対策として、「読書(または、映画やドラマの視聴)」が勧められています。
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小説やドキュメンタリーを読む(あるいはドラマや映画を観る)ことで、最悪の状況になったときに人はどんな心境になり、どんな選択をして失敗してしまいがちなのか、疑似体験することができます。
自分が同じような状況に陥ったとき、疑似体験したことを思い出せば、今の感情・状況にとらわれて誤った未来を想像することを防ぐことができ、適切な選択ができるようになるでしょう。
倒産を経験した起業家・会社員の本やブログ、恋愛の機微を描いた映画など、数々の物語に「もし自分が同じようになったら?」という視点で触れておくことで、あらかじめプロジェクション・バイアスを回避する対策を立てておけるのですね。
次回は、選択力を鈍らせる5つのバイアスの3番目「サンクコスト・バイアス」についてお話ししていきます。
まとめ
- 「プロジェクション・バイアス」を克服する方法として勧められているのが「選択するときの状況と、未来の状況をできるだけ近づける」ことです。買い物なら、あらかじめ買うもののリストを書いておく、投資なら利確・損切りの基準を定めておくなどして、今の感情の影響を受けないための対策を立てることで、後悔を防ぐことができます
- これまで経験したことのない事態に直面し、基準を定めるのが難しい場合への対策としては、「読書(あるいは映画やドラマ)」が勧められています。最悪の状況に陥ったときの登場人物の心境や判断を自分のこととして捉え、疑似体験しておくことで、同じ状況に自分がなったときの、プロジェクション・バイアスの影響を抑えることができます
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