メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその16回目です。
前回は、「選択力を鈍らせてしまう5つのバイアス」の中の、感情バイアスに関して、その対処法をご紹介しました。
感情によって意思決定や認知の仕方に歪みが生じることは「感情バイアス」の働き、といわれています。
過剰なポジティブ感情・ネガティブ感情は物事の認識を誤らせ、その影響で私達は楽観的・悲観的になり過ぎてしまい、合理的な意思決定ができなくなります。
その感情バイアスへの対処法が、
- 自分の認知、判断が感情に左右されることがあると自覚する
- ストレスが大きいときに大切な選択をしない
- エモーショナル・ディスクロージャー
の3つです。
①「そもそも人間は感情的になりやすく、その感情に抗えない」と自覚することで、「どういうときに特に感情的になってしまうのか。そうならないように できることはないか?」と、対策を施せるようになります。
②また、焦りや怒りのようなネガティブな感情だけでなく、空腹や疲労感などからくるストレスも合理的な判断を誤らせる、といわれています。
そのため、難しい選択は最もクリアな状態でいられる午前中に済ませる、あるいはストレスが多くかかる場面での決断は先延ばしにすることが勧められています。
③エモーショナル・ディスクロージャーとは、「感情を開示すること」、ストレスを感じる事態になったときに、自分の気持ちをありのままに書き出すことをいいます。
どういったことにストレスを感じているかを記録することで、「自分はこういったときにネガティブな気持ちになりやすいから、このようなところには行かないようにしよう」と、ストレス対策を立てやすくなるのです。
前回の詳細はこちら

今回は、選択力を鈍らせる5つのバイアスの2番目「プロジェクション・バイアス」についてお話しします。
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選択力を鈍らせる5つのバイアス
バイアス② プロジェクション・バイアス
プロジェクション・バイアスとは、私達が、未来にどんな気持ち、どんな感情になっているかを想像するときに、今、この時点での感情をベースにして「未来もきっとこうなるだろう」と見積もって判断する現象をいいます。
たとえば日常で、
「今日も平穏な一日だったから、1年後も平穏に暮らしているだろう」
「今、人間関係がとても充実しているから、この先もずっとうまくいくはずだ」
など、思うことはないでしょうか。
その反対に、
「今日はストレスの多い一日を過ごした。こんな日がおそらくずっと続いていくだろう。先のことを思うとますます憂うつになる」
「人間関係がうまくいかない今の状態は、きっとこの先も続いていきそうだ。そう思うと嫌気が差す」
と思うこともあるかもしれません。
ポジティブな未来かネガティブな未来かの違いはありますが、いずれの未来も現在の感情がベースになっているとわかります。
今の感情をベースにして、その延長線上の未来を想像しているのですね。
しかし今が平穏、あるいは充実しているといっても、一年後も同じ未来が待っているとは限りませんね。
思わぬ事故や災害に遭い、これまでの生活が一変することもあります。
実際に、今年は新型コロナウイルスが流行し、これまでの生活を大きく変えざるを得なくなった方も多いと思います。
昨年抱いていた感情は、未来の自分とほとんど関係がないとわかりますね。
ところは私達にはプロジェクション・バイアスが働き、今の感情をベースに未来を想像してしまいます。
その結果、必要以上に楽観的・悲観的になった意思決定を下し、後悔を残すことになるのです。
未来の想像を誤らせ、後悔につながる選択をさせる
プロジェクション・バイアスによって特に誤った選択をする傾向にあるのが投資の世界、といわれています。
仮に、購入していた仮想通貨が急騰し、大きな儲けが得られると、その人は今の感情をベースにして、「これからも上がっていくに違いない」と楽観的に予測し、さらに投資をする選択をします。
後悔しない選択をしないためには、いったん感情をセーブして、客観的な視点から状況を眺め、考える時間を取ることが必要でしょう。
しかしプロジェクション・バイアスが働くと、現時点での自分の感情を軸に未来を予測するため、自分に都合のいい状況が今後も続くはずだと思い、躊躇なく投資に踏み出してしまいます。
その予測が外れるとなれば、「どうしてあのとき、もっと冷静に判断しなかったのか」と後悔してしまうでしょう。
人間の感情は、よくも悪くも長く続かないようにできています。それにも関わらずプロジェクション・バイアスによって、今の感情が続いていく、そしてその感情を生み出した状況も続いてくと思い、根拠のない未来を信じてしまうのですね。
これは楽観的な予測だけでなく、悲観的な予測も同様です。
今が苦しい状態にあり、ネガティブな感情を抱いていると、「状況は決してよくならず、こんな気持ちがずっと続いていく」と考えしまい、未来に希望が持ちにくくなります。
そうなれば立ち直りが遅くなってしまうのですね。
プロジェクション・バイアスを防ぐには「現在を未来とをできるだけ近づける」
現在の感情をもとに未来を想像し、根拠のない選択肢を信じてしまう…。
こうした状況を防ぐには、どうすればいいのでしょうか?
それについて、コロラド大学の研究チームのプロジェクション・バイアスへの対策が紹介されていました。
それは、「選択するときの状況と、それによって起きる未来の状況をできるだけ近づける」というものです。
例えば、スーパーで夕食の買物をするときに、
あまりの空腹で、「とにかくたくさん食べたい」という欲求に駆られていると、「これを食べよう。あれも食べられるだろう」と、どんどん商品に手を伸ばし、買い過ぎてしまいます。
欲求に駆られれば、プロジェクション・バイアスによって「いつも以上に食欲が湧き、いつもの量では満足できない私」を想像してしまうからですね。
今の状況と未来とがかけ離れていると、想像する未来と実際にこれから経験することとも大きな隔たりができ、「あのときの想像とまったく違うことが起きた。こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねないのですね。
ゆえに「選択するときの状況と、それによって起きる未来の状況をできるだけ近づける」ことが勧められているのです。
次回は、現在の状況と未来の状況とをできる限り近づけて、プロジェクション・バイアスを抑えるための具体的な方法をご紹介していきます。
まとめ
- 選択力を鈍らせるバイアスの2つ目が「プロジェクション・バイアス」です。それは、今の感情をベースにして「現在がこうだから、未来もこうなるだろう」と未来を見積もる現象をいいます
- 人間の感情は続かず、また、その感情を生み出した状況も変化していきます。ゆえに現時点の感情をベースに想像した未来は、実際の経験と開きが出ることが多いです。そのためプロジェクション・バイアスにとらわれると誤った意思決定を下し、後悔することにするなります
- 今の感情を土台にした根拠のない未来を簡単に信じないためには、今の状況と未来の状況をできる限り近づけて将来を予測することが勧められています
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