メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその13回目です。
前回は、後悔しない選択をするための習慣の3つ目「不安への対策をする習慣」についてお話ししました。
人は不安に駆られてしまうと、周囲の変化に気づきにくくなり、新たな価値観や取り組みを受け入れづらくなることがわかっています。
また不安は、物事の否定的な面ばかりに目が行く「ネガティブバイアス」を引き起こします。
ゆえに不安を抱えたままでは、選択を先延ばしにし、積極的な行動を取ることがなくなるため、状況は改善されることなく、さらに悪くなってしまいます。
「あのとき、なぜ行動しなかったのか」と、後悔することになるのですね。
その不安に向き合って対処するには、まず、ネガティブバイアスを意識することが大切です。
物事の見方の偏りに気づき、落ち着いて状況を捉え直すことで、その後の自分の行動・ふるまいを変えられ、状況をよくさせていくことができるのです。
前回は、仮にあなたが取引先とのミーティングに遅刻してしまった際に、ネガティブバイアスに気づいて状況の解釈を変えることで、さらなるミスを防いで、事態の悪化を避けられる例をご紹介しました。
前回の記事はこちら

今回は、不安に対処して合理的な選択ができるようになる2つの対策をご紹介します。
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後悔しない選択をするための習慣「不安への対策をする習慣」
不安への対策① 呼吸法
不安への対策の1つ目として挙げられているのが、「呼吸法」「メンタルトレーニング」です。
人は不安を感じると、呼吸が浅く、早くなります。
すると、交感神経が働いて血液の循環が落ち、脳が必要とする新鮮な酸素の供給が滞り始めるため、注意力や集中力、判断力が落ちてしまう、といわれています。
そのような集中力や判断力が落ちた状態ではミスが増え、起こしたミスによってますます不安になっていくという悪循環に陥ってしまうでしょう。
この悪循環を断ち切るために有効なのが、呼吸を変えることです。
ゆっくりと息を吐いて、ゆっくり息を吸う。これを繰り返すだけで、肩の力が抜けていきます。
呼吸法-タクティカル・ブリージング
気持ちを落ち着けるための呼吸法にはさまざまな手法がありますが、その中でも特に無理なく続けられる「タクティカル・ブリージング」といわれる方法が紹介されていました。
アメリカの国防総省が正式に採用している呼吸法で、高い緊張状態を強いられるアメリカ軍の兵士たちが実践し、効果を上げているそうです。
以下の4つのステップで教えられています。
- 口を閉じてから4秒かけて息を吸う
- 4秒間、息を止める
- 4秒かけて口から息を吐き出す
- 4秒間、息を止める
以上のセットを気持ちが落ち着くまで繰り返します。
非常にシンプルで、場所を選ばずにどこでも実践可能です。
それでいて、脈拍の安定、血圧の低下、脳神経の鎮静、ストレス解消などの効果が認められている、といわれています。
ポイントは、「4秒を数える」ことにあります。
心の中で数をかぞえることで、1つのことに意識を集中させることができ、それによって、脳の鎮静作用が活発になって、落ち着きを取り戻しやすくなるのですね。
「ちょっと緊張している」「呼吸が浅くなってきている」などと感じたときは、すぐに試してみることが勧められています。
メンタルトレーニング-数息観
メンタルトレーニングとして勧められているのが「瞑想」です。
朝起きた後や、夜眠る前など、ゆっくりと時間を使える状況で、繰り返し実践することが大切といわれています。
瞑想には、注意力や判断力を向上させる効能があることが、脳科学の研究で明らかになっています。
また、心理学の分野でも、自己認識力の向上に好影響を与え、衝動を抑制すること、ストレスを適正に管理して不安への耐性を高めてくれることが確認されている、といわれています。
呼吸法と同様、さまざまな種類がある瞑想法の中でも、初めてでも試しやすい「数息観」という手法が紹介されていました。
- お腹を突き出すイメージで、背筋を伸ばして座る
- 前方1.5mのあたりをぼんやりと見つめる(目は閉じない)
- 1分間に4回から6回のペースでゆっくりと呼吸をしながら、息を吐いた回数を数えていく
- 息を吐いた回数を10まで数えたら、また1に戻る
- 1~10まで息を数え続ける
- 意識が別の何かにそれてしまったら、静かに1から呼吸のカウントを戻す
ポイントは、途中で注意が呼吸からそれてしまっても、あまり気にせずに続けること、といわれています。
それは、注意がそれたときに呼吸に意識を戻すことで、日常生活で心が乱れたときに呼吸にすぐに意識を向け、気持ちを整えやすくなるからです。
実践に慣れてきたら、取り組む時間を長くしたり、徐々に回数を増やしたりしていくことも勧められています。
不安への対策② 解釈を変え、不安をエネルギーに変える方法
2つ目の不安への対策は「解釈を変え、不安をエネルギーに変える方法」です。
これに関して、ドイツで行われた実験が紹介されていました。
194人のドイツ人、270人のドイツ人ジャーナリスト、そして159人のポーランド人学生を対象にして、彼らに2つの質問がされました。
- 締め切りがあるという不安は、時間通りに仕事や課題を終わらせることに役に立っていますか?
- 目標を達成できるかどうかという不安は、一生懸命物事に取り組み、集中するために役立っていますか?
この質問により、その人が、不安を 目標達成や仕事・課題の完遂のためのポジティブな要素として捉えているか、ネガティブな要素として捉えているかがわかります。
実験の結果、2つの質問にイエスと答えた人は、成績がよく、仕事や人生への満足度も高いことがわかったのです。
「不安を感じたからこそ、期限を守ることができた」
「不安があるからこそ目標を達成するための集中ができた」
と、不安をポジティブに捉えている人は、その不安を物事に取り組むエネルギーへと変え、モチベーションを高めているのですね。
結果として、仕事でも学業でも好成績をおさめていたのでした。
「不安があるからこそ、がんばれる。自分の力を引き出してくれる」このように、物事の視点を変えて、前向きな要素を見出そうとすることは「リフレーミング」と呼ばれています(実際に、不安によって身体に起こる反応は、興奮によって起こる反応と同じであり、考えを変えるだけで心理的な負担を減らせる、ともいわれています)。
もし、不安や焦りなどで緊張を感じたならば、「この緊張は、身体中に血液を送って、行動力をアップさせてくれているんだ。ベストなパーフォマンスを発揮するための準備をしているんだ」と考えることで、目の前のことから逃げようとするのではなく、立ち向かえる勇気が得られます。
その後のパーフォマンスに良い影響が与えられるでしょう。
不安を感じたときには、少々強引にでも、ポジティブな要素を見出すリフレーミングを実践し、習慣化することで、不安への対策となるのですね。
以上が、後悔しない選択をするための習慣「不安への対策をする習慣」についてでした。
次回は、選択力を鈍らせてしまう5つのバイアスとその対処法をご紹介していきます。
まとめ
不安への対策として、以下の2つをご紹介しました
- 呼吸法、メンタルトレーニング-
不安を感じると、人は呼吸が浅く、早くなって、それが集中力や判断力の低下をもたらし、ミスが増えます。その悪循環を断ち切るのが呼吸法・メンタルトレーニングです。これを繰り返すことで脳の鎮静作用が活発となり、注意力や判断力が回復・向上します- 呼吸法-おすすめは「タクティカル・ブリージング」
- メンタルトレーニング-瞑想、中でも実践しやすいのが「数息観」
- リフレーミング-
不安を感じても、それを物事に取り組むポジティブな要素として解釈を変えることで、モチベーションが高まり、高いパフォーマンスへの発揮へとつながります
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