メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその7回目です。
前回は、後悔しない選択をするための6つの準備の2番目「知識や経験よりもアンケートの母数を重視」、3番目「自分の時間感覚を過信しない」についてお話ししました。
私達の脳には、過去の経験則からすばやく意思決定を行う仕組み(ヒューリスティクス)があり、それにより物事の判断は速くなる一方、思考や分析を単純化しすぎてしまい、合理的な判断ができなくなるという弊害があります。
その対策として「母数を重視する」、つまり経験則を当てにせず、自分がこれからする選択について、SNSを使ったり、所属するコミュニティの人から意見を聞いたりして、なるべく多くの人の考えを聞くことが勧められています。
また、私達には、かかる時間や労力を低めに見積もって選択をするという傾向(計画錯誤)があることをご紹介しました。
それにとらわれれば、計画倒れになりかねません。
その対策として、
自分をよく知る人に、その作業をどのくらいで終わらせられるかを予測してもらう、
自分ではない別の人が同じ作業をした場合、どれくらいで終わるかを予測する、
ことが勧められていました。
こうすると客観的な視点が得られ、より正確な見積もりが可能となります。
前回の詳細はこちら

今回は、6つの準備の4番目「第三者の目を意識する」をお話しします。
- 「後悔しない選択」をするための6つの準備
- 人は衝動には抗えない生き物と心に刻む
- 知識や経験よりもアンケートの母数を重視
- 自分の時間感覚を過信しない
- 第三者の目を意識する
- 未来の自分を想像してみる
- プランやコストを明確化する
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「後悔しない選択」をするための6つの準備
準備④ 第三者の目を意識する
4つ目の準備として挙げられているのが「誰かに見られていると想像すること」といわれています。
外出中、実際に見られているわけではないのに誰かに見られていると感じて、自分の姿勢を正したり、トイレの鏡を見て服装や髪型におかしなところがないかチェックし、整えたりすることはよくあると思います。
この「誰かに見られている」と想像することで、理解や判断を司る認知機能が向上することが、最新の研究からわかっているそうです。
よって何かを選択するときには、「この選択を誰かが評価するとしたら?」「この選択をしているのをあの人が見ていたら?」と想像するだけで合理的な判断を下す確率が高まる、といわれています。
仮に、何か道徳的には間違っているような選択をしそうなときは、「自分の母親が、パートナーが、友人たちが見ていたら、どう思うだろうか?」と想像することで、衝動的な行動をグッと抑えることができるのですね。
これに関連し、人の目に触れるような環境を用意し、そこに身を置くことで、より合理的な判断ができるようになります。
資格を取得するという目標を立てたならば、資格の学校に通って一緒に学ぶ仲間をつくる、あるいはSNSで友人に目標を公言して勉強の進捗を伝えるなどすると、人目に触れる環境に身を置くことになります。
そのような環境づくりをすれば、気が乗らずに勉強の手を抜こうかなと感じたときも、周囲の人に怠けていると見られたくないという思いが抑止力として働き、勉強という選択肢を選び続けられる確率が高まりますね。
最近の心理学研究から、熱心に働く人たちの中にただいるだけでも生産性が上がることがわかっているそうです。
たとえ知った人のいない環境であっても、みなが仕事や勉強に勤しんでいる空間(図書館やカフェなど)にいることで、その熱心さに感化され、合理的な選択につながるのですね。
後悔しない選択に結びつく、第三者としてのアドバイス-“サードパーソンチョイス”の効果
第三者の声を生かすこと、第三者としての視点を持つことで合理的な判断ができるようになるやり方は「サードパーソンチョイス」と呼ばれているそうです。
エルサレム大学の研究によってその効果が証明されています。
その研究では、被験者が2つのグループに分けられ、
- 車を買うかどうか?
- この仕事に就くかどうか?
- 長年付き合っている恋人にプロポーズをするかどうか?
など、さまざまな場面での選択を提示し、決断を下してもらいました。
その際に、1つ目のグループは自分のこととして決断してもらい、
2つ目のグループには「信頼できる友人が選択を迫られているとしたら、どうアドバイスするか」という意識で選択をしてもらったのです。
すると、1つ目のグループの被験者の選択は、
「車は買うべき」
「仕事に就くべき」
「プロポーズをするべき」
という独善的な選択が多かったのに対して、
2つ目のグループの被験者の選択は
「車は子供ができてからでもよい」
「いまは買い手市場だから、就職は焦らなくてよい」
「プロポーズは貯金ができたあとでしたほうがいい」
など、多くの選択肢がより合理的な判断にもとづいたものだったのです。
この実験から、第三者としての視点を持って選択をするという「サードパーソンチョイス」は、賢明な判断を下すのに効果的な方法と言えるのですね。
サードパーソンチョイスに関する実験:
第1のグループ | 第2のグループ |
自分のこととして決断してもらう | 「信頼できる友人が選択を迫られているとしたら、どうアドバイスするか」 という意識で選択してもらう |
「すぐに~すべき(いまはとにかく~しないでおこう)」という、独善的な選択が多かった | 「いまは~だから(~になったら)、これは避けたほうがいい(これをやるべきだ)」という、合理的な判断にもとづいた選択が多かった |
第三者の意見を素直に受け入れられないとき
周囲から見られていると感じる、また、第三者としての視点を持つことで、より合理的な判断に近づけることをご紹介してきました。
しかし第三者としての意見を素直に受け入れることができないときもあるでしょう。その際の対処法が、ペンシルベニア大学で行われた研究を通して紹介されていました。
その研究では、参加者を2つのグループに分け、医師から健康に関するアドバイスを受けてもらう、というものです。
1つ目のグループは医師からのアドバイスを聞く前に、自分にとって大事なもの(家族や仕事、宗教恋人のことなど)について考えてもらい、
もう1つのグループは特に何も指示を与えずに医師からのアドバイスを聞いてもらいました。
その後で参加者の脳を調べると、大事なものについて考えたグループは、医師の話を聞く間、前頭葉の内側面が活性化していたそうです。
脳の前頭葉の内側面は、自分に関する情報を処理する箇所です。ここが活性化したということは、医師の話を真面目に受け止めていた証拠、といわれています。
実際にそのグループは、実験の1カ月後も医師のアドバイスを守り続けていたことがわかりました。
自分の大事なものを考えると、脳の前頭葉の内側面が活性化し、その状態で人からアドバイスを受けると、自分のこととしてより真剣に聞き、深く受け止め、言われたことを守ろうとするのですね。
結論として、合理的な判断による後悔のない選択をするには、
- 第三者の目を意識し、人の目に触れる環境に身を置くこと
- 第三者としての視点を持って、選択の是非を判断すること
- 自分にとって大事なものを考えた上で、他者の意見を聞くこと
が勧められています。一歩引いた視点から決断する習慣を、ぜひつけてみてください。
次回は、「後悔しない選択」をするための6つの準備の5つ目「未来の自分を想像する」とお話ししていきます。
まとめ
- 「後悔しない選択」をするための6つの準備の4番目が「第三者の目を意識する」です。人は「誰かに見られている」と想像だけで認知機能が向上し、合理的な判断を下す確率が高まります。これに関連し、人の目に触れる環境の中で過ごすこともまた、合理的な判断による選択を促します
- 第三者を想定する有効性を示すものの1つに「サードパーソンチョイス」があります。「信頼できる友人が選択を迫られていたら、あなたはどうアドバイスをするか」という、第三者としての視点を持って選択をすると、より合理的な判断ができることがわかっています
- 自分にとって大事なものを考えると、脳の前頭葉の内側面が活性化し、その状態で人の意見を聞くと、より我が事として聞き、素直に受け入れられやすくなることもわかっています
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