メンタリストで有名なDaiGoさんの『後悔しない超選択術』を通して、合理的な選択をして幸せに生きる方法をご紹介しています。
今回はその6回目です。
前回は、合理的な意思決定をするためのトレーニング法、
また、「後悔しない選択をする力」を育てる5つのステップの2つ目「後悔しない選択をするための準備」についてご紹介しました。
私たちは、「これは自分で決めた」と思っている選択肢も、その大多数は実は、選んだ際のメリット・デメリット、長期的な影響を考えないまま焦りや衝動から決めている、と指摘をされています。
焦りからや衝動に駆られての選択は合理的な選択とはいえず、後悔する可能性が高いです。ゆえに後悔しない選択をするには、焦りや衝動に惑わされないための準備が必要です。
その準備の仕方が、6つに分けて教えられています。
準備の1つ目「人は衝動には抗えない生き物と心に刻む」について、前回は詳しくご紹介しました。
前回の記事はこちら

そもそも人間は衝動に抗うことが非常に難しい生き物、といわれています。実際に、人間が誘惑・衝動に抗って、冷静・合理的な判断ができるのは50%であるとわかっています。
固く決意しても、2回に1回は自分との約束を破って衝動的に行動してしまうのですね。
ゆえに、自分の意志の弱さを謙虚に受け止め、負けてしまいそうな衝動・誘惑をあらかじめ予測し、それらを回避するルールをつくっておくことが勧められているのです。
今回は、6つの準備の2つ目「知識や経験よりもアンケートの母数を重視」からご紹介していきます。
- 「後悔しない選択」をするための6つの準備
- 人は衝動には抗えない生き物と心に刻む
- 知識や経験よりもアンケートの母数を重視
- 自分の時間感覚を過信しない
- 第三者の目を意識する
- 未来の自分を想像してみる
- プランやコストを明確化する
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「後悔しない選択」をするための6つの準備
準備② 知識や経験よりもアンケートの母数を重視-ヒューリスティクスへの対策
私たちの脳には、
「以前はこのやり方でうまくいったから」
「この方法で成功した人が多いから」
など、過去の経験則からすばやく意思決定を行う仕組みが備わっている、といわれています(心理学の世界では「ヒューリスティクス」と呼ばれています)。
※選択に関する誤った常識の1つ「今ある成功は、自分の過去の選択でできている」の中でご紹介した、「自己奉仕バイアス(成功したのは自分の判断力のおかげ、と思い込む)」とも関連がありますね
この仕組みにより物事の判断のスピードは上がる一方、弊害として、意思決定までの思考や分析を単純化しすぎてしまい、複数の選択肢のメリット・デメリット、長期的な可能性を吟味するという、合理的な判断ができなくなることがあります。
このヒューリスティクスの問題の対策としてDaiGoさんが行っているのが「母数を重視する」ことです。
本のタイトルを決めるとき、出版社が提示したタイトル案に関して、「このタイトル案を“いい”と言った人の人数は?」と思い切って質問をされるそうです。
すると、タイトル案について意見を聞いた人の母数は多くて十数人であり、ごく限られた人数で決められているとわかります。
出版社はその道のプロであり、専門家からの意見は有力であるものの、これまでの経験則に引っ張られて見方が狭まり、選択肢の母数を重視していないことも考えられます。
そのため、複数のタイトル案をSNSで公開し、ユーザーにどれがいいかのアンケートを取ることもあるそうです。
これまでの経験、知識にもとづく直感に頼ることは基本的には有効ですが、それを過大評価せずに、客観的な数値を見ることもまた大事なのですね。
個人でできる取り組み:同じような場面に向き合った人の声を集める
DaiGoさんのように、SNSなどを使って数千人規模のアンケートを取ることは難しいですが、それでもインターネットを使えば、これから自分がする選択について、過去に同じような場面に向き合った人の声を集めることは可能です。
また、自分が所属しているコミュニティやSNSでのつながりで意見をもらうこともできるでしょう。
そのように、自分のできる範囲で最大限 母数を広げる努力をすることで、自分の限られた視点、自らの経験則に引っ張られず、より質の高い選択ができるようになる、といわれています。
準備③ 自分の時間感覚を過信しない-計画錯誤への対策
後悔しない選択をするための準備の3つ目は「自分の時間感覚を過信しない」ことです。
私たち人間に備わっている時間感覚は非常にいい加減なものであるとわかっている、といわれています。
人は何かに取り組むとき、かかる時間や労力を低めに見積もるという選択をする傾向にあるのです(ノーベル経済学賞の受賞者であり、認知心理学者のダニエル・カーネマン博士はこれを「計画錯誤」と名づけました)。
周囲から見れば、「この人の仕事は予定通り終わらない」と思うことでも、当の本人は予定通りに終わらせられると思って作業に取り組んでいる、ということが往々にしてあるのです。
では私たちは時間の見積もりをどれくらい誤ってしまうのでしょうか。それについて、カーネマン博士が行った実験が紹介されていました。
対象となったのは、学位論文を書いている大学4年生。
カーネマン博士は学生たちに、「学位論文はいつごろ書き終わるのか?」と聞き、最短のケースと最長のケースを予想させました。
学生たちが予想した最短日数の平均は27日、最長日数は49日でした。
ところが実際に論文が書き終わるまでにかかった日数は平均56日だったのです。
最短のケースの日数で論文を書き終えた学生はほんの一握りであり、最長のケースと予想した日数で書き上げた学生は半分もいませんでした。
最長のケースと予想した日数で終わらせた学生が半分もいないということから、いかに時間の見積もりがいい加減かがわかりますね。
では計画錯誤に陥らずに、作業の時間や労力を適切に見積もるにはどうすればいいのでしょうか。
カーネマン博士が計画錯誤から脱する2つの方法を明示されています。
1つは、あなたをよく知る人に、その作業をどのくらいの時間で終わらせられるかを予測してもらうことです。
もう1つは、自分ではない別の人が同じ作業をした場合、どれくらいで終わらせられるかを予測する、という方法です。
どちらも「客観的な視点」が得られ、よりシビアで正確な時間・労力の見積もりが期待できます。
次回は、後悔しないための準備の4つ目「第三者の目を意識する」からお話ししていきます。
まとめ
- 「後悔しない選択」をするための準備として、今回は2つをご紹介しました
- 知識や経験よりもアンケートの母数を重視
-意思決定までの思考・分析を単純化しすぎてしまうヒューリスティックスへの問題への対策として、母数を重視することが勧められています。アンケートを取ったり、いろいろな立場の人からの意見を集めることで、より質の高い選択ができます - 自分の時間感覚を過信しない
-人間は物事へ取り組む際、時間・労力を低く見積もる傾向にある(=計画錯誤)といわれています。それに対して以下の対策することで、正確な見積もりが期待できます- あなたをよく知る人に時間の見積もりしてもらう
- 別の誰かがその作業をしたと想定して時間を見積もる
- 知識や経験よりもアンケートの母数を重視
続きの記事はこちら

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