勉強会主催の ゆう です。
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』を通して、“自分を変える”セルフ・コーチング術をご紹介していきます。
『できる人の法則』は、エグゼクティブ・コーチングの第一人者 マーシャル・ゴールドスミス氏によって書かれた、目指すべき自分になり、望みを叶えるための方法が学べる本です。
ゴールドスミス氏は、成功者に共通するのは<有利な条件>をつくり出すこと、といわれています。
では自分を変える上で有利な条件を得るにはどうすればいいのか、それには7つのルールに従うべきことを教えられています。
以下が、有利な条件を生み出す7つのルールです。
- 行動を変えることでは直せない問題かもしれない
- 正しいものを直そうとするように
- 本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように
- 聞かなくてはならない真実から逃げないこと
- 理想的な行動はどこにもない
- 計測可能なら、達成可能になる
- 結果を金銭に変え、解決策を見つける
前回は4番目の「聞かなくてはならない真実から逃げてはならない」ルールについてお話ししました。
前回の記事はこちら

自分を変えるためにはフィードバックを受けるのが欠かせませんが、わかっていても聞きたくないことはありますよね。
たとえば、健康診断の結果。医者から言われることを恐れて、健康診断を受けるのを先延ばしにしている方も多いでしょう。
私達には「すでにわかっている真実から、逃げたい」という気持ちがあり、それゆえに「条件が整ったらフィードバックを受けよう」と思って、先送りしてしまうのですね。
しかし聞きたくないからといって放置すれば、状況はますます悪くなってしまいます。それは健康状態でも、上司と部下、夫婦の関係でも同じですね。
ゆえにゴールドスミス氏は「否定するよりも真実を知るほうがよほどいい」と指摘されています。
フィードバックや批判は「自分を正しく変えてくれるもの」と受け止め、真実を聞くことに心がけることが大切なのですね。
今回は、5番目のルール「理想的な行動はどこにもない」についてお話しします。
スポンサーリンク
ルール⑤ 理想的な行動はどこにもない
「ベンチマーキング」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。マーケティングでよく使われている言葉ですね。
それは、「人や組織の理想的な例、手本とすべきものを比較・分析すること」という意味で使われています。「〇〇社をベンチマークにして、我が社も海外展開への準備を進める」などのようにいわれますね。
ベンチマーキングはマーケティングでは有効な考えとして紹介されていますが、こと自分を変えることに関してのベンチマーキングについては「人をよい方向に変えようとするとき最大の障害となる」とゴールドスミス氏は指摘されているのです。
ベンチマーキングが全面的に悪いということではなく、もっとも優れたものをお手本にすることで得られるもの、メリットもあるともいわれています。
しかし問題はそのやり方です。やり方次第で、よい結果よりも弊害をもたらすことが多くなるのです。
ではベンチマーキングのまずいやり方とはなんでしょうか。
それは、「完全になりたい」という欲望を持つようなやり方です。私達は、ベンチマークとなる人間や組織とまったく同じになることはできません。
それまでの歩みやもともとの強み、状況やリソースはそれぞれ異なるので、お手本とはしても、そこを完璧に目指すとなると、リソースがやたらと無駄に使われるという悪影響が出てしまうのですね。
ゴールドスミス氏は、
理想のエグゼクティブ像に39の属性があるとしたら、そのすべてを身につけろとは絶対に言わない。必要なのは、そのうちのいくつかだけだ。
といわれています。
理想のエグゼクティブになろうと39の属性を身につけようとしたら、膨大な時間とエネルギーがかかるうえ、結局はすべてを身につけることはできません。
大切なのは、特にひどい問題を直すことであり、ひどい問題がなければ心配する必要はないのですね。
すべてを改善しようとするのではなく、いずれか1つを選べばいい
完璧な理想を追い求める問題点を、マイケル・ジョーダンを例に出してわかりやすく指摘されていました。
マイケル・ジョーダンといえば、バスケットボール史上では誰もが認める最高のプレーヤーです。
ではバスケ以外のスポーツではどれくらいすごいかいうと、野球のマイナーリーグでは並以下の選手であり、ゴルフであればジョーダンより上手な人はいくらでもいるはずです。
マイケル・ジョーダンが優れているのはバスケ1つだけ。だからいって、ジョーダンの経歴を知る人で、彼を素晴らしい人物と思わない人はほとんどいませんよね。
そんなマイケル・ジョーダンでさえ秀でているスポーツは1つだけなのに、「あれもこれも、理想の人物と同じくらい優れていなくては」と考えることがいかに誤っているかを、ゴールドスミス氏は忠告されているのです。
最も効果的で、理想の自分へと近づける何か1つに力を注ぐ。すべてを改善するのではなく、いずれか1つを選べばいいのですね。
1つの変化が、すべてを良い方向へ変える
1つだけに注力することには、いいことがあります。
それは、1つのことが良くなると、他のこともよくなることです。
これは事実であり、その証拠となる2万のフィードバックがある、とゴールドスミス氏はいわれています。
たとえば、自分にとって最も大きな問題は人の話を聞かないことなので、聞き上手になろうとした人がいたとします。
聞き上手になるよう一点集中で努力し、苦手を克服して もっと人の話を聞けるようになれば、敬意をもって人と接することができるようになる、相手の存在を認めることができるようになります。
また、相手の意見を聞き入れられるようになったことで、これまで意図せずに無視してしまっていた相手のアイデアを漏らさずに受け止めることもできるようになります。
そのアイデアが成果に結びつき、よい数字となって表れることもあるでしょう。
部下からは、人のことを気にかける面倒見が良い上司と思われ、職場の雰囲気がグッと良くなるということにもつながりますね。
1つの変化ですべてがよくなる。これは統計上の事実だ。
とまで、ゴールドスミス氏はいわれています。
完全な理想を追求し「あれもこれも改善しよう。もっと完璧に近づかねば」となるのではなく、改善すれば最も効果を発揮する1つを選び、そこの改善に力を集めていきたいですね。
次回は、有利な条件を生み出すルールの6番目「計測可能なら、達成可能になる」についてお話ししていきます。
まとめ
- 自分を変えるための<有利な条件>を生み出すルールの5番目が「理想的な行動はどこにもない」です。理想的人物を追い求める「ベンチマーキング」は、自分が変わる上では“最大の障壁”となる、といわれています
- 「完璧な人物に完全になりたい」という欲望を持っても、その人物にはなることはできず、リソースの無駄遣いにつながります。ゆえにゴールドスミス氏は「すべてを身につけろとは絶対に言わない。必要なのは、そのうちのいくつかだけだ」と指摘されています
- すべてを改善しようとするのではなく、理想の自分に近づく最も効果的な1つの改善に力を注ぐことが大切です。その1つに注力すれば、ほかのことも良くなっていくといわれています(例:聞き上手になる→相手に敬意を払える・部下のアイディアを取り入れるようになる→部下から尊敬される・職場の雰囲気が良くなる)
続きの記事はこちら

スポンサーリンク