勉強会主催の ゆう です。
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』を通して、“自分を変える”セルフ・コーチング術をご紹介していきます。
『できる人の法則』は、エグゼクティブ・コーチングの第一人者 マーシャル・ゴールドスミス氏によって書かれた、目指すべき自分になり、望みを叶えるための方法が学べる本です。
ゴールドスミス氏は、自分を変える最短の道を行くには、有利な状況をつくり出す7つのルールに従うべきといわれています。
それが以下のルールです。
- 行動を変えることでは直せない問題かもしれない
- 正しいものを直そうとするように
- 本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように
- 聞かなくてはならない真実から逃げないこと
- 理想的な行動はどこにもない
- 計測可能なら、達成可能になる
- 結果を金銭に変え、解決策を見つける
前回は2番目の「正しいものを直そうとするように」のルールについてお話ししました。
前回の記事はこちら

自分の欠点を改善し、なるべき自分を目指すときに重要なのが、「すべてを変える必要はない」と認識することです。
エグゼクティブのような成功者ほど、すべての問題点を改善しようとする傾向にあります。
しかし、いくらエクゼクティブのような能力の高い人でも、あまりに多くのことに一度に取り組もうとすれば、あっちへ行きこっちへ行きし、結局何も変わらずじまいということになりかねません。
だからすべてを変えようとせず、最短でゴールへと近づくにはどれを直すのが正しいのかを見極め、1つ1つの欠点の改善に力を集中することが、自分を変える有利な条件なのですね。
明らかな欠点を無視して他の細かな欠点を直そうとする人が実に多い、とゴールドスミス氏がいわれるほど、優秀な人でも(優秀人だからこそ、とも言えるかもしれません)陥ってしまうトラップです。
ぜひ意識していただければと思います。
今回は3番目のルール「本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように」についてお話しします。
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「自分を変える」ときの7つのルール②:本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように
人間関係の問題を解決してゴールへ到達するには、本当に変えるべきは何かを勘違いしないこと、それを直すことで効果があるかどうかを正確に知ることが大切です。
それについてゴールドスミス氏は、マットというCFOの顧客とのエピソードで示されています。
マットは部下との間に問題を抱えていました。
CFOとしてのスキルは何の問題もなく、それどころか会社創設以来、もっとも強いパワーを持つCFOとなっており、CEOに近い権限を持っているほどでした。
しかしその能力の高さが問題の原因でもありました。マットは過度の自尊心を身につけ、部下に対して無愛想なコメントをし、軽蔑的な意見を言うようになり、直属の部下にも近寄りがたい存在になってしまっていたのです。
その問題を解決するために、ゴールドスミス氏がコーチとして招かれたのでした。
ゴールドスミス氏は、マットに部下への態度を変えることを提言しようとしたのですが、彼は話を遮り、
「私が本当にしたいのは、9キロ減量して、体をシェープアップすることだ」
と言ったのです。
さすがのゴールドスミス氏も、フィットネスに話が及ぶとは思いもしなかったため、驚きました。
「自分が不機嫌なのは体型にある。それを直せば、ほかのすべてもうまい具合に改善する」と答え、頑として譲ろうとしなかったのです。
フィードバックのとおり、彼は自惚れといってよいほど自分の考えに囚われてしまっている、それこそ彼の変わらなくてはならない点だとゴールドスミス氏は確信を持ちました。
社内の人間からのフィードバックを明かした上で(マットがぶっきらぼうな態度をとり、周りに少しも気を遣っていないこと)、「引き締まった体を手に入れるか、職場の対人関係の問題を1つ減らすか?」とたずねたところ、マットはそれでも「引き締まった体」と答えたのです。
「決められた運動をして、それを続ければいいだけ。たんに意思の問題だ。そうして理想の体型が手に入れば、すべての問題が解決する」というのがマットの考えだったのですね。
しかしこのマットの考えには、大きな2つの誤りがあります。
マットの大きな誤り① 本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしている
重大な1つ目の誤りは、マットが減量に成功し、引き締まった体を手に入れたからといって、彼が不機嫌でなくなるという保証はなく、それによってすべてがうまくいく保証もどこにもないことです。
むしろマットの自惚れがますます強くなり、職場の人の恨みを買って関係がさらに悪化し、まずい立場に立つかもしれません。
そこまで考えは及んでいなかったのです。
マットがいまの職場でさらなる成功をつかむには、職場の人との関係改善は必須です。
そのためにすべきは態度を改めることであり、それでこそ有利な状況をつくり出すことができます。体を鍛えることでは望む効果を到底得られず、自らを窮地に追い込むことになるでしょう。
ゴールドスミス氏とマットとのエピソードから、「本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように」というルールの大切さがわかりました。
マットの大きな誤り② ダイエットは簡単ではない
マットのもう1つの誤りは、本筋とは少しずれますが、減量してその体重を維持することは、いかに大変で難しいかを理解していないことです。
ダイエットとフィットネスに失敗する理由は5つある、とゴールドスミス氏は指摘されています。
- 時間 … はるか予想以上の時間がかかり、その時間が取れない
- 努力 … 期待以上に大変な努力を要する
- 邪魔 … プログラムを守れなくなるような「危機的状況」が現れることを想定していない
- 対価 … 多少改善したあとでも他人は期待したような反応を示さない
- 維持 … 目標を達成したあとで、体型を維持するのがいかに難しいかを忘れている。プログラムを一生続けなければならないことを想定していないため、やがて後退するか、まったくあきらめてしまう
マットの場合、仕事に時間が取られるため、減量のための時間の確保が難しく、「単に意思の問題だ」という発言から、要する努力の大きさに憤るかもしれません。
急な仕事や家庭の出来事に邪魔をされる可能性もあり、さらに難しいとされる体型の維持は望むべくもないでしょう。
もっと重要なことは、多くの時間と努力を使って目標を成し遂げたとして、本当に解決したい問題(部下との関係改善と、職場でのさらなる成功)は何ともならないことですね。
時間と努力を要しても、問題解決につながらないどころか、問題の悪化を招いていては目も当てられません。
引き締まった体を手に入れても、部下との人間関係の問題は決して解決できないことを教訓にし、問題解決に取り組む前に、それを改善して何を成果として得られるか、本当に自分の望みは叶えられるのかを直視していきたいですね。
次回は4番目のルール「聞かなくてはならない真実から逃げないこと」についてお話ししていきます。
まとめ
- 「自分を変える」ときのルールの2番目が「本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように」です。それを変えたとしても本当の問題は解決しない、むしろ問題を悪化させるものは避けなければなりません
- ゴールドスミス氏は例として、マットというCFOの顧客を挙げられています。マットは引き締まった体を手に入れれば問題は解決すると思っていましたが、それでは部下との悪化している関係という本当の問題をなくせるどころか、部下からさらなる恨みを買う可能性がありました
- 問題の解決に取り組む前に、それを改善することで何を得られるか、本当の望みは叶えられるのか、逆に問題を深刻化させないか、を冷静に見つめることが大切です
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