勉強会主催の ゆう です。
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』を通して、“自分を変える”セルフ・コーチング術をご紹介していきます。
『できる人の法則』は、エグゼクティブ・コーチングの第一人者 マーシャル・ゴールドスミス氏によって書かれた、目指すべき自分になり、望みを叶えるための方法が学べる本です。
ゴールドスミス氏は、自分の欠点を正確に知ってそれを直し、ゴールに到達するための方法を、以下の“7つのステップ”で教えています。
- フィードバック
- 謝罪する
- 公表する、宣伝する
- 聞くこと
- 「ありがとう」と言う
- フォローアップ
- フィードフォワードを練習する
前回は、7つのステップの3番目「公表する、宣伝する」についてお話ししました。
前回の記事はこちら

自分を変える努力を始めようとするときは、宣伝すること、どの点をどのように変えるつもりなのかをきっちり告げることが必要であると言われています。
それは、相手に「自分が変わろうと努力をしていること」に注意を払ってもらうためです。
宣伝のない状態で、たとえあなたが素晴らしい行いをしていても、相手はそれを例外だと見なし、印象は変わらないままになってしまいます(この傾向は「認知的不協和」といわれています)。
自分でどう変わろうしているかを宣伝してこそ、自分の変化に目を留めさせ、相手の先入観を変えることができるようになるのですね。
また、1度や2度や3度、宣伝をしたくらいでは十分ではない、とも言われています。
それは、相手は相手で抱えている問題があり、私のメッセージは簡単に忘れられてしまうからです。
繰り返し宣伝し、実際に変化を見せてこそ、私が本当に望んでいる変化が実現していくのです。
今回は、7つのステップの4つ目「聞くこと」についてお話ししていきます。
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本当に聞き上手な人が実践している3つのポイント
自分の悪癖を知り、それを直して理想の自分になるには、正しいフィードバックを得るのが欠かせません。
他人からフィードバックを得るとき、他人から学ぶときには、聞くことが重要です。
ゴールドスミス氏は
他人から学べるかどうかは、いかに上手に聞くかで八割が決まる。つまり、何もしない前に、成功するか失敗するかが決まってしまう。
と、聞くことの大きさを語っています。
「聞くことは受け身の行動で、何もしなくいい、その気になれば簡単に聞ける」と思っている人も多いでしょう。
しかしゴールドスミス氏は、「上手な聞き手は、聞くことは活動的なプロセスだと考える」と指摘されています。
聞くことは決して簡単なことではなく、身体のあらゆる機能を適切に使ってこそ、実現できることなのです。
その点を踏まえ、ではどうすればよりよく聞けるようになるのでしょうか。ゴールドスミス氏は以下の3つのポイントを挙げています。
- 話す前に考える
- 敬意をもって話を聞く
- 反応するときにはつねに「言う価値があるか」と自問する
聞き上手になるポイント① 話す前に考える
聞くときに最初にとるべきアクションとして挙げられているのが、「話す前に考える」ことです。
当たり前ですが、話していれば聞くことはできません。口を閉じることが積極的な選択になる、とゴールドスミス氏は言われています。
私たちは相手の話を聞いているようで、気づいたら自分が話す量のほうが多くなっていた、ということがあります。それでは聞いているとは言えませんね。
話を聞いていると、いろいろな感情が出てきます。腹立ちやイライラ、混乱、驚きなどです。
こんな感情が出てくると、話さずにはおれません。特に怒りの感情が湧いたときは、相手につい反論をしてしまいたくなるでしょう。
ゆえに、聞くことはものすごい自制心を要するものなのですね。
聞くことは2つの部分からなる
ゴールドスミス氏が最高の英雄の一人と目するフランシス・ヘッセルバイン氏は、聞くことは2つの部分からなる活動であると理解している、といわれています。
1つは聞くこと。もう1つが話すことです。
聞くことに話すことが含まれるとなると、矛盾しているように感じますが、「話すことで、私たちがどのような聞き手であるかがわかる」と説明されています。
相手の話を聞いたあとに何を言うかで、どの程度聞いていたかがわかるということですね。
話す前に考え、口を閉じる。そして、聞いたことを適切に表現する。これができれば、効果的に話を聞くことができるのです。
聞き上手になるポイント② 敬意をもって話を聞く
人から何かを学ぶときには、相手に敬意を払いつつ聞くことが大切です。
「これも、想像するほどたやすいことではない」と、ゴールドスミス氏は指摘されています。
敬意を払わない聞き方とは、どんな聞き方でしょうか。
自分が本を読んだり、テレビを観たり、あるいは新聞をめくったりしていたときに、パートナーから話しかけられた経験はないでしょうか?
その動作を続けながら話を聞いていると、突然、「私の話、聞いていないでしょ」という声が聞こえてきます。
あなたは「いや、聞いているよ」と言い、相手の言ったことを一語一語くり返し、ちゃんと聞いていたことを証明し、相手の間違いを明らかにする。
それは賢明な対処の仕方であるといえるでしょうか? 決してそうではありませんね。
パートナーは、あなたがマルチタスクができることを称賛することはありえず、敬意を欠いた聞き方をしていたことを批判するでしょう。
敬意ある聞き方について、ゴールドスミス氏はこう言われています。
耳を開けているだけでは充分ではない。体全体で聞いている、というところを見せなければならない。
相手のほうをしっかりと向いて聞くというのが、敬意をもった聞き方なのですね。
ゴールドスミス氏は、敬意をもって話を聞く達人として、アメリカの元大統領 ビル・クリントン氏を挙げています。
クリントン氏について、このように評されています。
ビル・クリントンは話しかけられているとき、その場にはあなたしか存在しないかのように聞く。
彼の目からボディランゲージまですべてのものが、あなたの話に聞き入って身動きできないと伝える。
彼は、彼がいかに重要ではなく、あなたがいかに重要であるかを伝える。
クリントン氏は、まさに体全体を使って、最大限の敬意を払った聞き方のお手本といえるのですね。
聞き上手になるポイント③ 反応するときにはつねに「言う価値があるか」と自問する
聞き方のポイントの最後が、口を開く前に「これは言う価値があるか?」という“難しい”質問に答えることです。
私たちの多くは、人の話を聞いているようで、実は次に何を言おうか、頭のなかで考えるのに忙しい。
とゴールドスミス氏は言及されています。
これは皆さんにも経験があると思います。相手の話を聞くふりをして、自分の言うコメントを考えしまう…。
しかもその多くは、相手を不快にさせるコメント、最悪の場合は相手を傷つけるコメントです。
そんなことをやり続ければ、誰もあなたの前で話をしようとしなくなりますね。
話している相手へのコメントは、不快にさせるものばかりではありません。
ピント外れのものもあれば、核心をついたものもあり、相手を鼓舞して勇気を与えるものもあれば、がっかりさせたりイラつかせたりするものもありますね。
その際に、「これは言う価値があるか?」と自問すれば、あなたのコメントを聞いて相手がどう感じるかを考えざるを得なくなります(そうする人は多くはありません)。
もし自問せずに反応し、ネガティブなコメントを投げかけたら、どうなるでしょうか?
相手は、あなたが話を聞いていないと思うだけでなく、
- 彼らは傷つく
- 傷つけ苦しみを与えた相手に悪い感情を抱く(つまり彼らはあなたを憎む)
- そして次回から、彼らは発言しなくなる
という3つの連鎖を引き起こしてしまう、といわれています。
これを続ければ、周りの人はあなたを疎んで、あなたのために行動することも、アイディアを提供することもやめてしまうでしょう。
これでは相手から学ぶことは到底、できませんね。
「それは言う価値があるか?」と自問し、一歩先のこと、相手のことを考えられるようになること、大きな観点でものを見ることで、言動を適切なものに変え、相手との関係を損なわず、信頼を得ることができるのです。
以上の、聞き上手になる3つのポイントを踏まえ、適切に「聞くこと」を実践し、正しいフィードバックを得ることにつなげていただきたいと思います。
次回は、「聞くこと」に関する、より発展したスキルをご紹介します。
まとめ
- 自分を変えて、ゴールに到達する7つのステップの4つ目が「聞くこと」です。他人からいかに学ぶかは、いかに上手に聞くかで8割が決まる、といわれています。聞くことは簡単なことではなく、活動的なプロセスであり、身体のあらゆる機能を使ってこそ実現できるのです
- 聞くときの3つのポイントが以下のものです
- 話す前に考える-
相手の話を聞いていると、腹立ちや混乱、驚きなど、いろいろな感情が出てきますが、反論したくなる衝動に駆られても口を閉じ、自制心を保つことが大切です。また、話を聞いた後に、聞いたことを適切に表現できてこそ、本当に聞いているといえます - 敬意をもって話を聞く-
何かをしながら聞くのは話している相手への敬意を欠いています。耳で聞くだけでなく、体全体で聞いているところを見せるのが、敬意をもった聞き方です - 反応するときにはつねに「言う価値があるか」と自問する-
私達は相手の話を聞くフリをして、自分の言うコメントを考えてしまい、実際にそれを言って、相手を不快にさせることもあります。そうなれば相手は傷つき、もう自分の前で口を開いてくれなくなるでしょう。ゆえに「それは言う価値があるか?」と自問し、言動を慎むことが重要です
- 話す前に考える-
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