勉強会主催の ゆう です。
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』を通して、“自分を変える”セルフ・コーチング術をご紹介していきます。
『できる人の法則』は、エグゼクティブ・コーチングの第一人者 マーシャル・ゴールドスミス氏によって書かれた、目指すべき自分になり、望みを叶えるための方法が学べる本です。
自分の欠点、悪い癖を直し、ゴールに到達するための方法として、ゴールドスミス氏は“7つのステップ”を紹介されています。
- フィードバック
- 謝罪する
- 公表する、宣伝する
- 聞くこと
- 「ありがとう」と言う
- フォローアップ
- フィードフォワードを練習する
前回は、7つのステップの1つ目、「フィードバック」についてお話ししました。
人間関係の改善のための最善の方法が、正しく役に立つフィードバックを得ることです。
相手が自分のどこを直してほしいと思っているのか、改善してもらいたいと思っているのかがわからないと、自分の最も悪い癖を自覚して、それを直すことはできないからですね。
しかしこの正しいフィードバックをもらうのは簡単でありません。相手に率直に話してもらおうと思っても、相手は必ず身構えてしまうからです。
そこで勧められているのが、周りは自分に対してどんな反応をしているのかを見る「観察によるフィードバック」です。
これにより、時として、最高のフィードバックが得られることもあります。
4つの効果的な観察方法のうちの2つ
「人があなたについて何気なく言うことをリストにまとめる」
「音を消す」
は、前回の記事で詳説しました。
前回の記事はこちら

今回は残り2つの、正しく役立つフィードバックが受け取れる観察方法をお話しします。
スポンサーリンク
“観察”を使った、フィードバックを得る方法(後編)
観察によるフィードバック③ 自分が誇張して話すことを聞く
「自分が強みだと自負していることが、実はひどい弱みであることがよくある」と、ゴールドスミス氏は言われています。
自負していること、自慢していることに耳を傾け、なるべく客観的に自己評価をしてみましょう。「強み」と思い込んでいる点が、実は「弱み」である可能性は大いにあるのです。
また、卑下した言い方をするときにも同じことが生じます。卑下していることとは、まったく逆のこと(自負している)を思っていることがとても多いからです。
たとえば、「私は、在庫管理に詳しくないのですが」という言葉は、「自分は在庫管理の専門家だと思っている」ことのサインなのですね。
ほかにも、友人が「私が注意を払っていなかったかもしれないけれど」と切り出したなら、友人には細心の注意を払っていたという自負があり、それを示すつもりでいるのでしょう。
ゆえに自分が卑下することを言ったと思ったら、それは自分自身へのフィードバックであると思って、注意をして見てみましょう。
その裏には自負があり、さらにそれが実は「弱み」である可能性も高い、ということですね。
※その卑下が真実であり、正直に口にしている場合もあります
観察によるフィードバック④ 家庭を見る
この方法の効果を理解していただくには、ゴールドスミス氏が、ある投資銀行のエグゼクティブにコーチングをしたときのエピソードを知られるのが最適です。
そのエグゼクティブはものすごく競争心が強い人間であり、かなり大きな利益をあげて会社に貢献はしていたものの、対人関係で致命的な欠点も抱えていました。
それは「直属の部下と職場の人に敬意をもって接する」スコアが極めて低く、彼は誰に対しても不機嫌で攻撃的である、というものです。
彼のいちばんの支持者であるCEOに対してすら口答えをしていたといいます。
ゴールドスミス氏は、その彼と座り、「あなたは、家族に対してどのように接していますか?」と質問をしました。
それに対して彼は、家庭ではまったく別で、りっぱな夫であり父親だと答え、「家では借りてきた猫だ」とまで言ったそうです。
そこでゴールドスミス氏は彼の許可を取り、彼の妻に電話をして、夫の言葉を伝えました。
すると妻はそれを聞いて大笑い。笑いがようやく止まると、彼女は「彼は家でもいやなヤツよ」と言い、二人の子供も電話に出て、母親に同意をしたのです。
このエピソードから、
職場でのあなたの悪い癖は、家の玄関のドアを開けたときに消えるわけではない
という教訓が得られたと示されています。
自分の行動が家庭ではどうかをチェックすることで、変わる必要があることを自覚できるのですね。
自分のことをどう見ているのかを、家に帰って家族に質問すれば、より適切なフィードバックが得られるでしょう。
また、家族が自分に望んでいることを知ることで、なぜ変わる必要があるかを理解することにもつながります(自分が愛する人が望んでいることは、ぜひ実現させたい、と思いますよね)。
先のエグゼクティブは、家族からフィードバックを得たことで、二人の息子のために変わろうと決心しました。
そして1年のうちに、彼は人に敬意をもって接するスコアを大きく引き上げたのです。
以上が、正しく役立つフィードバックを得るための観察方法でした。
変わるためにフィードバックを得ることは非常に大事です。ただ、フィードバックは活動の基礎でしかなく、スタートを切ったばかりだ、とも言われています。
しかしフィードバックによって何を変えるべきかがわかれば、「自分を変え、他人の見る目を変える」作業にとりかかったも同然であり、次のステップへの準備は整っています。
次回は、変わるための2番目のステップ「謝罪する」についてお話ししていきます。
続きの記事はこちら

スポンサーリンク