勉強会主催の ゆう です。
仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。
前回は、これまでのまとめとして「PDCAを鬼速で回す10個のポイント」についてお話ししました。
前回の記事はこちら

計画フェーズで意識すべきポイントは、
- 因数分解で精度の高い仮説を立てる
- 仮説思考、リーン思考で動く
実行フェーズでのポイントは、
- 常にインパクトの大きい課題、行動から着手する
- 行動のアイディアが湧いたらすぐにタスク化する
- 行動目標も必ず数値化
- TODOの進捗管理は毎日行う
検証フェーズ、調整フェーズでのポイントは、
- こまめに検証を行う
- 要因分析時は「思い込み」を外す
- 次のサイクルに迅速につなげる
全体として意識すべきなのは、
- 小さいPDCAを同時に多く回す
でした。
特にPDCAを回し慣れていない間は、それぞれのフェーズに移ったら、まず各フェーズに応じたポイントを確認するようにしましょう。そしてやがては、無意識レベルでやっていけるようにしたいですね。
鬼速PDCAについての最終回となる今回は、「鬼速PDCAコーチング」をご紹介します。
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全体に浸透させ、PDCA力を高める“鬼速PDCAコーチング”
『鬼速PDCA』の著者である冨田さんは、ご自身の目下の課題として「幹部社員に鬼速PDCAのコーチング技術を磨いてもらう」ことを挙げられています。
鬼速PDCAの指導者が増えれば、それだけ早く社員全員に鬼速PDCAを浸透させ、それぞれのPDCA力を成長させて、チーム全体としても高い効果を上げられるからです。
鬼速PDCAコーチングの基本は「質問」
鬼速PDCAコーチングのメインとなるのは、「質問」です。
第三者が課題を抱えているときに質問することで、視点を横に広げたり、縦に掘ったりする因数分解の補助をします。
視点を広げたり、縦に掘ったりする質問は、たとえば、
「何が課題だと思う?」
「何に引っかかっている?」
「じゃあ、どれやろう?」
「優先順位はどうしようか?」
などですね。
ときには助言もされますが、一方的に答えを与えるのではなく、質問形式にして、答えは自分で考えてもらいます。
質問の威力
質問することで、された側は条件反射的にその答えを取りに行こうとします。
そこで気づきが得られ、新たな決定をすれば、それは人から言われるより、圧倒的にモチベーションが高くなりますね。
新たな気づきが得られると、次回以降は自分一人でも課題やボトルネックが発見できるようになり、PDCA力が着実についていくでしょう。
質問する側の注意点
質問は高い威力があるからこそ、使うときにも注意が必要です。冨田さんは、質問する側に注意してもらっていることとして、8つ、挙げられています。
- 質問攻めにしない
- 堂々巡りの質問をしない
- 論理的に破綻した回答だからといって否定しない
- 沈黙を埋めない。沈黙は熟考の証である
- イエス、ノーで答えられる質問をなるべくしない
- 中立的な質問をする(例:「それって本当に役に立ちますか?」ではなく「それはどんな効果がありますか?」と言い換える)
- 話がそれても遮らない。ただ、事実だけを伝える(例:「話がそれていると思いますが続けますか?」)
実際にやってみると、ついつい質問攻めになったり、沈黙に耐えれずに助言を入れたりしてしまいがちだと思います。
答えを早く出させようとするのではなく、「相手に深く考えてもらう」ことを目的に質問をしていくとよさそうですね。
コーチングで喚び起こす3つのもの
コーチングで喚び起こすものを、冨田さんは3つに分けて教えられています。
①要因分析の喚起
ゴールと現状のギャップに対して存在している要因・課題の分析を、広げる・深掘りするための質問を通じて、サポートする。
②具体化の喚起
ゴール、計画、緊急度の高いDOなどを常に意識づけするための具体的な落とし込みを、質問を通して考えもらう。
③行動の喚起
具体的な行動の内容、いつ行うかなどの期日や期間を、質問を通して明確にし、回答者の行動喚起を促す。
失敗への恐れを和らげ、背中を押す
コーチングをしていると、やたらと答えを聞きたがる社員も出てきます。
しかしそこで答えを言ってしまうと、「自分で考える癖をつける」という目的が果たされなくなるため、管理職レベルには「逆にどう思う?」と切り返すように教えられているそうです。
答えを聞きたがる社員は、まったく何もわからないわけではないでしょう。
実際には、
「自信がないし、失敗したくない」
「見当違いで馬鹿にされるのが恐い」
と体裁を気にしているだけだ、と冨田さんは見られています。
そのように挑戦を恐れて立ちすくんでいては、PDCAも止まってしまいます。
そんなときこそ、自分で答えを出してもらって、「やってみようよ。失敗しても修正すればいい」と背中を押すコーチングが必要になるのですね。
行き詰まりを感じたり、挑戦を恐れていたりする人がいたら、視野を広げる質問や、「失敗してこそ成長できる」と恐れを緩和する励ましを、ぜひ実践していただければと思います。
まとめ
- 鬼速PDCAのコーチングができる人が増えれば、それだけチームに鬼速PDCAを浸透させることができ、チーム全体の業績も高まります
- 鬼速PDCAコーチングのメインは「質問」です。質問によって、課題を見つける際の視野を広げること、因数分解での深堀りを補助をします(例:「何が課題だと思う?」、「何に引っかかっている?」など)
- 質問によって気づきを得られ、自らが新たな決定をすれば、助言を与えられるときと比べ圧倒的にモチベーションは高くなり、以降は自分一人でも課題を見つけられるようになります。また、質問は威力があるゆえ、使用するときは「質問攻めにしない」「論理的に破綻した回答も否定しない」「沈黙を埋めない」などの配慮が必要です
- コーチングで呼び起こすものは以下の3つだといわれています
- 要因分析の喚起-要因分析、課題の発見を、広げる・深堀りする質問を通してサポートします
- 具体化の喚起-具体的な落とし込みを、質問を通して考えてもらいます
- 行動の喚起-いつ行うかなどの期日・期間を、質問を通して明確にし、行動を促します。失敗を恐れている相手に共感した上で、背中をそっと押すのもコーチの大切な役割です
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