勉強会主催の ゆう です。
仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。
前回は、調整フェーズの3ステップのなかの1番目「検証結果を踏まえた調整案を考える」についてお話ししました。

調整フェーズでやるべき基本は、
できなかった要因については「どうやったらできるようになるのか?」、
できた要因については「どうやったらさらに成果を出せるのか?」
を考え、それら調整案を書き出していくことですね(これがステップ①の「検証結果を踏まえた調整案を考える」です)。
調整案は、その後の対応のレベルに応じて4つに分けられます(どのようなレベルがあって、その次にどんな対応が必要であるかを事前に理解しておくことで、掴みどころの難しい調整フェーズの役割が明確になります)。
- ゴールレベルの調整が必要そうなもの
- ゴールを中止、変更、追加のいずれかを行う
- PDCAサイクルそのものへの変化が起きる
- 計画の大幅な見直しが迫られるもの
- ゴールは同じだが、課題を入れかえたり追加したりする
- 計画の大半をやり直すために大幅な遅れが生じる
- 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
- 解決案やDO、TODOの変更やテコ入れ、追加など
- 計画自体はほぼ変わらないため、次の段階はPを飛ばしてDに移る。ゆえにサイクルが非常にスピーディーに回る
- 調整不要
- しっかり経過を追って、成果も出ており改善の余地もない場合
調整案にあるこのようなレベルの違いを認識することで、次に取るべき行動もわかりやすくなりますね。
今回は、調整フェーズの2番目のステップ「調整に優先順位をつけ、やることを絞る」からご紹介していきます。
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調整フェーズの3ステップ
ステップ② 調整に優先順位をつけ、やることを絞る
ステップ①で書き出された調整案をすべて実行するに越したことはありませんが、限られた時間、予算、人手のなかですべてをするのはおそらく不可能と思われます。
そこで、あらためて
- インパクト
- 時間
- 気軽さ
の指標で調整案の優先度づけをすることが勧められています。
先のケース2(計画の見直しが迫られる)のレベルの調整案は、インパクトは強いが時間がかかることが予測されます。
反対に解決案レベルで済むケース3は、インパクトは小さくても時間はあまりかからないだろうと考えられますね。
調整案の優先度づけの例
例として、冨田さん(『鬼速PDCA』の著者)は、いままで電話アプローチしかしてこなかった営業マンが、徐々にアポ率が減ってきた、という状況と、
検証結果によってその要因は「電話アプローチのリストも終盤にさしかかり、可能性の高い優良顧客には電話をし尽くしたから」であることを挙げていいます。
その結果、考え出されたのが以下の調整案です。
- ゴールの設定を下げる(ケース1)
- メールアプローチを追加する(ケース2)
- 交渉術を磨く(ケース2)
- 電話アプローチの最新のリストを探す(ケース3)
- 電話アプローチを継続する(ケース4)
そして、それらの調整案を「インパクト」「時間」「気軽さ」を指標として優先度をつけます(下図を参照)。
「さすがにまだまだ改善の余地はある。ゴールを下げるのは早い」
「メールは、インパクトはありそうだけれど、ノウハウもリストもないし、時間がかかりそうだ」
「交渉術を学べばいまよりマシにはなりそうだけれど、効果が出るのに時間はかなりかかるよね」
「最新のリストが手に入ったら即効性があるな。探す価値はありそうだ」
など、指標に基づくことで視点が広がり、適切な優先度づけができるのですね。
ステップ③ 次のサイクルにつなげる
これがいよいよ、最後のステップです。
PDCAは回し続けることに意義があるため、改善案や伸長案が決まったら、次のサイクル(調整案のレベルに応じてP、あるいはD)へつなげる。これも調整フェーズの重要な役割です。
では具体的にはどのようにすれば、次のサイクルへスムーズに移行できるのでしょうか。
課題レベルでの変更・追加を必要する調整案の場合
大幅な計画の変更が予想される、課題レベルでの変更・追加を必要とする調整案が出てきた場合、以下が取るべきアクションです。
- 新たな課題に関する情報収集
- (現在進行形のプロジェクトなら)関係者へのアナウンス
- KPIの設定、懸念材料の整理、(チームなら)解決案の議論といった計画立案をいち早く行う(=Pの前倒し)
速やかにこのようなアクションを取れば、次のフェーズであるPへ、早く、スムーズにつなげることができます。
それが調整フェーズの最後で求められるのですね。
解決案・DO・TODOのレベルでの改善案や伸長案の場合
解決案やDO、TODOレベルでの改善案や伸長案が出てきたときの取るべきアクションは、
- (チームなら)担当者を決める
- 期日を決める
- できるだけ具体的なタスクに落とし込む(=Dの前倒し)
といったことです。
こちらは、できる限り早く次のDにつなげることが求められます。
調整不要(PDCAをそのまま継続させる)の場合
調整不要の場合も、チームでのことなら、それを関係者にいち早く伝える必要があります。
「うまくいっているので、今週もアクセル全開で頼む」と声かけすることで、実行者も自信・モチベーションも高まるでしょう。
PDCAサイクルとはいえ、経過を正しく追って問題のないことなら、必ずしも毎回、手間のかかるPを行う必要はないのですね(むしろ仮説の精度が高かったということで、自信を持っていいと思います)。
以上が、調整フェーズの3つのステップでした。
次回は、検証と調整フェーズでよく起こりがちな、注意すべき間違いについてお話しします。
まとめ
- 調整案は以下の3つのステップで導かれる、といわれています
- 検証結果を踏まえた調整案を考える
- 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
- 次のサイクルにつなげる
- ステップの2つ目が「調整案に優先順位をつけ、やることを絞る」です。調整案すべての実行が難しい場合、インパクト・時間・気軽さを基準に、調整案の優先度づけを行いましょう
- 最後のステップが「次のサイクルにつなげる」です。レベルごとに、次のサイクルへのスムーズな移行の仕方を把握しておきましょう
- 課題レベルでの変更・追加を必要する調整案の場合-
新たな課題に関する情報収集、関係者へのアナウンス、KPIの設定・懸念材料の整理・(チームなら)解決案の議論といった計画立案をいち早く行う - 解決案・DO・TODOのレベルでの改善案や伸長案の場合-
担当者を決める・期日を決める・できるだけ具体的なタスクに落とし込む - 調整不要(PDCAをそのまま継続させる)の場合-
いち早く関係者に伝えることで、うまくいっていることがわかり、実行者の自信・モチベーションが高まる
- 課題レベルでの変更・追加を必要する調整案の場合-
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