調整(ADJUST)フェーズの3つのステップ①「調整案の4つのレベルを知る」-『鬼速PDCA』から学ぶ 本当に使えるPDCAスキル36

調整フェーズの3つのステップ

勉強会主催の ゆう です。

仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。

鬼速PDCA

前回は、検証フェーズにおける「“気づき”と検証(Check)との関係」についてお話ししました。

前回の記事はこちら

「なるほど」の気づきを得たら、どんどんメモ!PDCAを習慣化し、自己成長を促す方法-『鬼速PDCA』から学ぶ 本当に使えるPDCAスキル35
勉強会主催のゆうです。仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。鬼速PDCA前回は、検証フェーズの最後のステップ「できた要因を突き止める」...

普段の生活で「なるほどな」と思える“気づき”があったのなら、それはPDCAを回すきっかけとなるCであり、それを実践に移せばDとなる、と冨田さん(『鬼速PDCA』の著者)は言われています。

PDCAが回り始めれば、自己成長へと結びつきます。PDCAはどこから始めてもよく、その機会は多いほどいいのですね。

冨田さんが実践されている、PDCAを回すきっかけである気づき(C)を増やしていく取り組みとして、

  • 「なるほど」の気づきはどんどんメモする
  • チーム内で気づきを共有する「なるほどシート」を活用する

をご紹介しました。

特に気づきを共有する「なるほどシート」の活用は、チームメンバー全員に気づきへのアンテナを高く張らせ、それらを書き残す習慣を身につけさせることにもつながり、全体の成長も加速させますね。

実行しやすいことから、ぜひ取り入れていただければと思います。

今回から、PDCAサイクルの最後・AJUST(調整)フェーズについてご紹介していきます。

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調整フェーズの3ステップ

最後のAJUST(調整)フェーズは、検証フェーズの結果を踏まえて対応を検討し、次のPDCAサイクルにつなげていく、という役割を担っています(PDCAサイクルを中止する判断もここで行われます)。

中止する判断も含めて、冨田さんは、この調整フェーズの結果を「調整案」と呼ばれています(改善案と言わないのは、結果のなかには、強みを伸ばすための案「伸長案」も含まれるからでしたね)。

調整案は、次の3つのステップで導かれます。

調整フェーズの3つのステップ

ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える

検証フェーズでは、以下の3つのうちの1つが、検証結果として渡されます。

  • KPI・KDI(またはそのいずれか)の達成率
  • できなかった要因
  • できた要因

それらの結果をもとに、調整フェーズで行うべき基本は、

  • できなかった要因については「どうやったらできるようになるのか?」
  • できた要因については「どうやったらさらに成果が出せるか?」

を考え、書き出すことです。

このとき、もしリストアップされた要因があまりに多い場合は、その要因に対策を打ったときのインパクトだけにフォーカスして、検討事項を減らしてもいい(すべてに対策を講じることが理想でありますが)、と言われています。

考え出された調整案は、以下の4つのレベルに分けられます。

  1. ゴールレベルの調整が必要そうなもの
  2. 計画の大幅な見直しが迫られるもの
  3. 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
  4. 調整不要

それぞれのレベルの調整案は具体的にどのようなものか、見ていきましょう。

ケース① ゴールレベルの調整が必要そうなもの

ゴールの調整には、

  1. 中止
  2. 変更
  3. 追加

の3つがあると言われています。

ⅰ 中止

中止は、調整案を検討した結果、

「これはどうやっても無理」
「さすがにあきらめよう」

と、ゴール達成をあきらめる場合です。

例:赤字が膨らむ事業部を閉鎖する

ⅱ 変更

変更は、達成する対象を変更したり、期日を先送りしたりしないといけない状況になったときです。

ゴールが変わるということは、いままでのPDCAサイクルは中止され、新しいゴールに向けた新しいPDCAが回る、ということです。

例:今年の司法試験をあきらめ、来年に照準を合わせる(現在のPDCAの中止、新しいPDCAのスタート)

ⅲ 追加

ゴールの追加は、プロジェクトを進めていて予想外の大きな課題に直面したとき、いままでの業務とは別途、プロジェクトチームをつくるような場合です。

例:コスト削減を進めていたら、不明瞭な会計処理が見つかった(現在のPDCAの続行、新しいPDCAのスタート)

ケース② 計画の大幅な見直しが迫られるもの

ゴールの変更はなくても、課題を入れかえる、また追加しないといけない場合です。

例として、ゴールが「会社の利益アップ」で、課題が「売上増」から「コストダウン」に変わるとなったことが挙げられていました。

その際は、経理や資材部を巻き込んでの現状の把握や情報収集、KPIの設定など、計画の大半をやり直さないといけなくなり、PDCAサイクルに大幅な遅れが予想されます。

課題の入れ替え、追加の例:

  • 企画を増やすためにネット収集より、リアル人脈の構築にシフトしよう(課題の変更)
  • 顧客を増やすためにDMアプローチを検討してみよう(課題の追加)

ケース③ 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの

ゴールも課題も同じですが、解決案やDO、TODOに対しての変更やテコ入れをする場合です。

役目を終えた、または効果が薄かった解決案やDO、TODOを外し、他の解決案、DO、TODO(優先順位を下げていたものを含む)を追加するのもここである、と言われています。

計画自体はほぼ変わらないので、Pを飛ばして追加策のDから検討していけばいいので、

「P → D → C → A → D → C → A…」

と、非常にスピーディーに回るようになります。

最初の計画フェーズでの仮説の精度が高ければ、大きな軌道修正は発生せず、このケースとなるのですね。

例:

  • セルフトークが習慣化したので、ルーチンチェックシートから外そう(DOの中止)
  • 本を読み出したら成果が出たので、読む量を増やそう(DOの変更)
  • 人で足りないので、インターンにもプロジェクトに入ってもらおう(DOの追加)

ケース④ 調整不要

成果が出ていて、なおかつ改善の余地もない場合です。

そのまま次のサイクルでも同じKDIで動けばいいのであり、しっかり経過を追っているなら、計画を予定通りに継続することも立派なPDCAである、と冨田さんは言われています。

 

以上が「ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える」で得られる、4つのレベルの調整案でした。

次回は、その調整案を実行に移すための、調整フェーズのステップ2,ステップ3をご紹介してきます。

まとめ

  • 調整案は以下の3つのステップで導かれる、といわれています
    1. 検証結果を踏まえた調整案を考える
    2. 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
    3. 次のサイクルにつなげる
  • はじめに検証結果(KPI・KDIの達成率、できなかった要因、できた要因)を踏まえ、調整案を考えます。考え出される調整案は以下の4つのレベルに分けられます
    1. ゴールレベルの調整が必要そうなもの-サイクルの中止、ゴールの変更、ゴールの追加の、いずれかの調整を行います
    2. 計画の大幅な見直しが迫られるもの-課題の入れかえ、あるいは追加を行います
    3. 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの-効果の薄かった解決案やDO、TODOを外し、優先順位を下げていたものを含む新たな解決案・DO・TODOを追加します
    4. 調整不要-成果が出ていて、改善の余地がない場合です

続きの記事はこちら

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この記事を書いた人
南 雄一郎

スキルアップ!勉強会 主催者。
2014年から都内のカフェでコミュニケーションのスキルを上げるための勉強会を開催していました。
2016年からは、対人関係でのスキルを心理学から学ぶ勉強会をメインに開催しています。
勉強会の開催数は累計200回以上です。

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