勉強会主催の ゆう です。
仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。
前回は、検証フェーズにおける「“気づき”と検証(Check)との関係」についてお話ししました。
前回の記事はこちら

普段の生活で「なるほどな」と思える“気づき”があったのなら、それはPDCAを回すきっかけとなるCであり、それを実践に移せばDとなる、と冨田さん(『鬼速PDCA』の著者)は言われています。
PDCAが回り始めれば、自己成長へと結びつきます。PDCAはどこから始めてもよく、その機会は多いほどいいのですね。
冨田さんが実践されている、PDCAを回すきっかけである気づき(C)を増やしていく取り組みとして、
- 「なるほど」の気づきはどんどんメモする
- チーム内で気づきを共有する「なるほどシート」を活用する
をご紹介しました。
特に気づきを共有する「なるほどシート」の活用は、チームメンバー全員に気づきへのアンテナを高く張らせ、それらを書き残す習慣を身につけさせることにもつながり、全体の成長も加速させますね。
実行しやすいことから、ぜひ取り入れていただければと思います。
今回から、PDCAサイクルの最後・AJUST(調整)フェーズについてご紹介していきます。
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調整フェーズの3ステップ
最後のAJUST(調整)フェーズは、検証フェーズの結果を踏まえて対応を検討し、次のPDCAサイクルにつなげていく、という役割を担っています(PDCAサイクルを中止する判断もここで行われます)。
中止する判断も含めて、冨田さんは、この調整フェーズの結果を「調整案」と呼ばれています(改善案と言わないのは、結果のなかには、強みを伸ばすための案「伸長案」も含まれるからでしたね)。
調整案は、次の3つのステップで導かれます。
ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える
検証フェーズでは、以下の3つのうちの1つが、検証結果として渡されます。
- KPI・KDI(またはそのいずれか)の達成率
- できなかった要因
- できた要因
それらの結果をもとに、調整フェーズで行うべき基本は、
- できなかった要因については「どうやったらできるようになるのか?」
- できた要因については「どうやったらさらに成果が出せるか?」
を考え、書き出すことです。
このとき、もしリストアップされた要因があまりに多い場合は、その要因に対策を打ったときのインパクトだけにフォーカスして、検討事項を減らしてもいい(すべてに対策を講じることが理想でありますが)、と言われています。
考え出された調整案は、以下の4つのレベルに分けられます。
- ゴールレベルの調整が必要そうなもの
- 計画の大幅な見直しが迫られるもの
- 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
- 調整不要
それぞれのレベルの調整案は具体的にどのようなものか、見ていきましょう。
ケース① ゴールレベルの調整が必要そうなもの
ゴールの調整には、
- 中止
- 変更
- 追加
の3つがあると言われています。
ⅰ 中止
中止は、調整案を検討した結果、
「これはどうやっても無理」
「さすがにあきらめよう」
と、ゴール達成をあきらめる場合です。
例:赤字が膨らむ事業部を閉鎖する
ⅱ 変更
変更は、達成する対象を変更したり、期日を先送りしたりしないといけない状況になったときです。
ゴールが変わるということは、いままでのPDCAサイクルは中止され、新しいゴールに向けた新しいPDCAが回る、ということです。
例:今年の司法試験をあきらめ、来年に照準を合わせる(現在のPDCAの中止、新しいPDCAのスタート)
ⅲ 追加
ゴールの追加は、プロジェクトを進めていて予想外の大きな課題に直面したとき、いままでの業務とは別途、プロジェクトチームをつくるような場合です。
例:コスト削減を進めていたら、不明瞭な会計処理が見つかった(現在のPDCAの続行、新しいPDCAのスタート)
ケース② 計画の大幅な見直しが迫られるもの
ゴールの変更はなくても、課題を入れかえる、また追加しないといけない場合です。
例として、ゴールが「会社の利益アップ」で、課題が「売上増」から「コストダウン」に変わるとなったことが挙げられていました。
その際は、経理や資材部を巻き込んでの現状の把握や情報収集、KPIの設定など、計画の大半をやり直さないといけなくなり、PDCAサイクルに大幅な遅れが予想されます。
課題の入れ替え、追加の例:
- 企画を増やすためにネット収集より、リアル人脈の構築にシフトしよう(課題の変更)
- 顧客を増やすためにDMアプローチを検討してみよう(課題の追加)
ケース③ 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
ゴールも課題も同じですが、解決案やDO、TODOに対しての変更やテコ入れをする場合です。
役目を終えた、または効果が薄かった解決案やDO、TODOを外し、他の解決案、DO、TODO(優先順位を下げていたものを含む)を追加するのもここである、と言われています。
計画自体はほぼ変わらないので、Pを飛ばして追加策のDから検討していけばいいので、
「P → D → C → A → D → C → A…」
と、非常にスピーディーに回るようになります。
最初の計画フェーズでの仮説の精度が高ければ、大きな軌道修正は発生せず、このケースとなるのですね。
例:
- セルフトークが習慣化したので、ルーチンチェックシートから外そう(DOの中止)
- 本を読み出したら成果が出たので、読む量を増やそう(DOの変更)
- 人で足りないので、インターンにもプロジェクトに入ってもらおう(DOの追加)
ケース④ 調整不要
成果が出ていて、なおかつ改善の余地もない場合です。
そのまま次のサイクルでも同じKDIで動けばいいのであり、しっかり経過を追っているなら、計画を予定通りに継続することも立派なPDCAである、と冨田さんは言われています。
以上が「ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える」で得られる、4つのレベルの調整案でした。
次回は、その調整案を実行に移すための、調整フェーズのステップ2,ステップ3をご紹介してきます。
まとめ
- 調整案は以下の3つのステップで導かれる、といわれています
- 検証結果を踏まえた調整案を考える
- 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
- 次のサイクルにつなげる
- はじめに検証結果(KPI・KDIの達成率、できなかった要因、できた要因)を踏まえ、調整案を考えます。考え出される調整案は以下の4つのレベルに分けられます
- ゴールレベルの調整が必要そうなもの-サイクルの中止、ゴールの変更、ゴールの追加の、いずれかの調整を行います
- 計画の大幅な見直しが迫られるもの-課題の入れかえ、あるいは追加を行います
- 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの-効果の薄かった解決案やDO、TODOを外し、優先順位を下げていたものを含む新たな解決案・DO・TODOを追加します
- 調整不要-成果が出ていて、改善の余地がない場合です
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