ゴールの定量化(KGIの設定)で押さえたい3つのポイント-『鬼速PDCA』から学ぶ 本当に使えるPDCAスキル9

朝活主催の ゆう です。

仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。

鬼速PDCA

前回は、鬼速PDCAの中のADJUST(調整フェーズ)の概要をお話ししました。

前回の記事はこちら

改善ではなく“調整”といわれる理由と、検証結果にもとづく4種類の調整案とは-『鬼速PDCA』から学ぶ 本当に使えるPDCAスキル8
朝活主催のゆうです。仕事でも個人のレベルアップにおいても強力なツールとなり得る「PDCA」を、10万部を超えるベストセラー『鬼速PDCA』を参考にご紹介しています。鬼速PDCA前回は、鬼速PDCAの中のCHECK(検証フェーズ)の概要をお話...

一般のPDCAでAはACTION(改善)とされているのをADJUST(調整)と言い換えられているのは、改善ばかりに目がいって、良いことをさらに伸ばす案(伸長案)が抜け落ちないようにすること、

または、このフェーズとDO(実行フェーズ)との混乱を避けるためであること、

そして検証結果によって調整案は4つに分類されることをお話ししました。

今回から、PDCAサイクルの計画フェーズの詳細をご紹介していきます。

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計画フェーズで必要なのは「慎重さと大胆さの中間」

PDCAサイクルの最初は計画です。

冨田さん(『鬼速PDCA』の著者)は、PDCAで失敗する人の50%は、この計画フェーズで失敗している、と言われています。

では失敗しないためにはどうすればいいのでしょうか?

失敗する原因は大きく分けて2つといわれています。

それは

  • 慎重になりすぎる
  • 雑になりすぎる

のどちらかです。

慎重派は「計画を立てるなら絶対に間違ってはならない」と思います。

もし会社で、新規事業を検討している経営者が慎重派であれば、社員たちは延々と市場調査に駆り出されることになります。

そして毎月の会議で新規事業について取り上げられては「もう少し様子を見よう」と言われ、そもそも実行に移すことができなくなってしまうのです。

これとは反対に、思いつきでPDCAサイクルを回そうとしても、計画が雑すぎると、その下の実行フェーズで何をすべきか曖昧で、路頭に迷ってしまいかねません。

検証しようにも、定量的に比較できるものがないので、その原因も解明しづらい、と指摘されています。

過度の慎重さはPDCAサイクルを遅くし、
過度の思慮不足はPDCAサイクルの精度を落としてしまいます。

よって、PDCAを回す人や組織に必要なのは、「慎重さと大胆さの中間あたり」と冨田さんは言われているのです。

これは厳密な定義ではなく感覚的な話のため、

「自分慎重になりすぎていて、行動を先延ばしにしていないか」
「大胆になりすぎていて、思慮の時間を割かず、仮説の精度が低いまま実行してはいないか」

というような、自分との対話が重要になるのですね。

冨田さん自身は課題についての判断を下す際、

(PDCAを回すことを前提にして)現時点で可能な限り精度の高い仮説を立てて、間違っても仕方ない

と語られています。

PDCAは一発勝負ではなく、仮説の精度を上げていくことが目的で理解していれば、「(現時点での精度は上げつつも)間違っても仕方ない」という気持ちでいられ、精神面の不安も軽くなるのですね。

計画フェーズの8つのステップ

冨田さんは、計画フェーズですべきことを8つのステップにして教えられています。

ステップ① ゴールを定量化する(KGIの設定)

あらゆるPDCAはゴールを設定するところか始まります。

なので、まず最初のステップが、「たどり着きたいゴールを決めること」ことです。

その際に注意してほしいポイントが3つあります。

それは

  1. 期日を切ること
  2. 定量化すること
  3. 適度に具体的なものにすること

です。

1 期日を切る

期日が変わると、それを実現するための目標も変わります。

交通手段で例えるなら、北海道に行くのに半日しかなければ飛行機しか選択肢はありませんが、1週間以上かけてよいなら自転車の旅という選択肢もないわけではありませんね。

しかし期日を空けすぎると検討すべき事項が多くなりますし、何より期日を決めなければ危機感が生まれません

「時間があったらいつかしよう。そうすればそのうち目標も達成できるだろう」。こんな考えでは、おそらくいつまでも目標達成はできませんね。

期日を切り、ある程度選択肢を狭め、危機感を生むことが、まず1つ目のポイントです。

2 定量化する

ゴールは必ず数字に落とし込む必要がある」と冨田さんは言われています。

期日を設定し、定量化したゴールは「KGIKey Goal Indicator)」(=重要目標達成指標)と呼ばれ、ゴールを定めるうえでKGIを設定することが不可欠なのですね。

すでに数値化されている目標は、そのままそれをゴールとすればOKです。

しかしなかには定性的な目標もあります。

例えば、モテたい、出生したい、名を残したいなど。

これを定性的な状態のままにすると、自分の成長度合いや進捗具合が確認しづらくなり、やがて意識から離れていってしまうでしょう。

それを防ぐには、定性的な目標であっても、それを数値化し、把握しやすい状態に置き換えることです

定性→定量へ変える具体例として、以下のものが挙げられていました。

  • 「痩せたい」→「体脂肪率20%未満」
  • 「会社を大きくしたい」→「売上100億円」
  • 「上司に認められたい」→「人事評価A」

などです。

設定が若干難しいのが、第三者の内面を対象にした場合です。

それにはアンケートを用いるのがいいと勧められていました。アンケートは日本語で「定性調査」と呼ばれているそうです。

3 適度に具体的なものにすること

あまりに先の目標にすれば選択肢があまりに多くなり、見通しが立たず、路頭に迷いかねません。

また、「年間の売上高」の数値目標など、あまりに大きな数値目標を掲げても、課題が増えすぎてもしまい、中途半端になってしまう可能性があります。

ゆえに、適度な期日、適度な数値の目標を定めるべきですね。

期日でいえば、冨田さんは「理想は1~3ヶ月後くらいだ」と言われています。

これくらいの期間があれば、

  • 成長するには十分な時間である
  • 環境の変化も少ないため、とるべき行動のイメージもつきやすい
  • ゆえにモチベーションが維持しやすい

というメリットにつながります。

また数値でいえば、四半期ベースや月次ベースに分解したのち、その目標を構成する因子を考え、それを数値化するのがいいと言われています

具体的には

「月次売上高」→「新規顧客数を増やす」か「既存顧客の単価を上げる」

という因子を考え、

「月の新規開拓数30件」

のような目標を立てればいい、ということですね。

これは人から言い渡された目標でも同じです。その目標の粒度が粗ければ、自分で適度な粒度に分解した目標を立てればいいのです。

 

このような3つのポイントに押さえて、まずゴールを決めてみましょう。

次に必要になるのが「現状とのギャップ」を確認することです。それについては次回、詳しくお話しします。

まとめ

  • PDCAで失敗する人の50%が計画フェーズで失敗している、といわれています。その原因は「慎重になりすぎて実行に移せない」「雑になりすぎて、いざ実行しようにも何をすべきかわからない」ことです。ゆえに「慎重さと大胆さの中間あたり」が求められます
  • 「現時点で可能な限り精度の高い仮説を立てて、間違っても仕方ない」という考えでいると、精神面の不安が抑えられます
  • 計画フェーズの1つ目が「ゴールを定量化する(KGIの設定)」です。ゴールを決めるときのポイントが以下の3つです
    1. 期日を切ること(行動の選択肢が狭まり、危機感も生まれる)
    2. 定量化すること(KGI化、定性的な目標も数値化する)
    3. 適度に具体的なものにすること(適度な期日-理想は1~3ヶ月後-を設定する、適度な数値-月次ベースに分解したのちにその因子を考える-を決める)

続きの記事はこちら

現状とのギャップの正確な把握の仕方、課題の適切な見つけ方とは-『鬼速PDCA』から学ぶ 本当に使えるPDCAスキル10
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この記事を書いた人
南 雄一郎

スキルアップ!勉強会 主催者。
2014年から都内のカフェでコミュニケーションのスキルを上げるための勉強会を開催していました。
2016年からは、対人関係でのスキルを心理学から学ぶ勉強会をメインに開催しています。
勉強会の開催数は累計200回以上です。

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