Win-Winを考える10-問題は人ではなくシステム?「Win-Win」を実現するシステムのポイント|朝活で学ぶ「7つの習慣」その44

朝活主催の ゆう です。

このブログでは、世界的ベストセラー『7つの習慣』の内容を少しずつご紹介しています。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

続けて第4の習慣「Win-Winを考える」についてお話ししています。

『7つの習慣』では、私たちが他者と築いていくべき関係は「Win-Win(お互いに満足し、それぞれに利益や成長がもたらされる関係)」であるといわれています。

その「Win-Win」には、

  1. 人格
  2. 人間関係
  3. 協定(合意)
  4. システム
  5. プロセス

の5つの側面があり、他者と良好な関係をつくるには、これらの要素を考慮し、改善していくことが望まれます。

前回は、3番目の側面「協定(合意)」について、適切な協定に改めたことで望む結果を実現させた、大手銀行の管理職研修をご紹介しました。

前回の記事はこちら

Win-Winを考える9-セルフ・コントロール型研修がもたらした劇的な変化|朝活で学ぶ「7つの習慣」その43
朝活主催のゆうです。このブログでは、世界的ベストセラー『7つの習慣』の内容を少しずつご紹介しています。完訳7つの習慣人格主義の回復続けてお話ししているのが、第4の習慣「Win-Winを考える」についてです。『7つの習慣』では、私たちが他者と...

今回から、4番目の側面である「システム」について詳しくお話ししていきます。

スポンサーリンク

システムが組織のパラダイムを決定する

会社と社員との関係を「Win-Win」にしようと思っても、「Win-Win」を支えるシステムがなければ、その関係を実現させることはできません。

たとえば、給与や報奨の仕組みが「Win-Lose(社員が競い合い、成績の高い人だけが待遇が良くなる仕組み)」になっていれば、社員同士で協力するようなことは起こらず、人のことはお構いなしで、自分だけ高い成績を挙げようとするでしょう。

会社にとっても社員にとっても望む結果を実現させるには、システムを「Win-Win」のパラダイムと合致するものにすべきなのですね

不動産会社のシステムの再構築によって起こった、驚くべきシナジー

コヴィー博士がコンサルティングに関わっていた大手不動産会社の話です。

その会社では、年に1回、成績優秀な営業担当の社員を表彰する大会が行われていました。

会場には800人以上の営業担当の社員が参加していましたが、販売金額や販売件数などの成績で表彰されたのは40人ほどだったそうです。

彼ら40人は勝者であることは確かですが、これでは残りの760人が敗者となってしまうのであり、「Win-Lose」色の非常に強いシステムでした

もし表彰された社員のみが高待遇を受けられるのであれば、相対的にわずかな椅子を巡って競争が行われてしまい、これでは社員同士のパラダイムが「Win-Win」になることはかなり難しいでしょう。

そこでコヴィー博士はさっそくこの会社のシステムと構造を「Win-Win」のパラダイムに沿った形にしようしました。

社員教育と組織改革に取り組み、社員のやる気を引き出させるシステム、社員同士で協力できる環境をつくりあげたのです。

その結果、翌年の大会には、参加した1000人以上の社員のうち、約800人が賞をもらいました。

そのほとんどの賞は、「Win-Win」の実行協定において、自分で決めた営業目標を達成できたことにより各社員や営業チームに贈られたものでした

会場に集まった社員は、昨年とは違って表彰式に自然と関心を持ち、皆がワクワクとしていました。
社内の雰囲気も良くなっていることが目に見えてわかったのです。

さらに驚くべきことに、その年に賞をもらった800人のほぼ全員が、前年の成績優秀者40人と同じくらいの業績を上げていたのです

P(成果)が増えたばかりでなく、社員それぞれのPC(成果を生み出す能力)も向上していたのですね

問題があるのは人ではない?システムの重要性

システムの重要性について、コヴィー博士はこう語っています。

多くの場合、問題があるのは人ではなくシステムのほうである

いくら優秀な人材でも、悪いシステムに入れたら悪い結果しか出てこない育ってほしい花には水をやらなくてはならないのだ

Win-Winの考え方をしっかりと身につければ、それを支えるシステムをつくり、組織に定着させることができる。

無意味な競争を排除して協力的な環境を育むことで、PとPCの両方を高めることができ、大きな効果を組織全体に波及させることができる。

(『7つの習慣』より引用)

システムの是非を棚上げし、社員同士が協力しない原因を社員の能力に求めてしまうことも少なくないと思います。

しかしいくら協力的な社員であっても、人を助ける行為の評価をせず、競争を煽るような「Win-Lose」のパラダイムにもとづいたシステムの中では、その協調性を発揮することは難しいでしょう。

お互いが協力できるような環境、システムが整っているかどうか、見直しをしていきたいですね。

 

次回は、Win-Winの5つの側面の最後である「プロセス」について詳しくご紹介します。

まとめ

  • 私たちが他者と築いていくべき関係「Win-Win」の4番目の側面が「システム」です。社員同士の協力を促そうとしても、「Win-Lose(社員が競い合い、成績の高い人だけが待遇が良くなる仕組み)」になっていれば「Win-Win」の関係構築は困難です
  • コヴィー博士がコンサルティングに関わっていた大手不動産会社では、はじめは、ごく限られた人のみが表彰を受ける「Win-Lose」色の非常に強いシステムでした。コヴィー博士が社員同士で協力できる環境をつくり上げたところ、社内の雰囲気も目に見えてよくなり、全体の業績も上がったのです
  • いくら協力的な社員も、悪いシステムに入れたら悪い結果しか出てこない、といわれています。問題があるのは人ではなくシステムのほうであり、協力的な環境を育むことがより求められます

スポンサーリンク