Win-Winを考える9-セルフ・コントロール型研修がもたらした劇的な変化|朝活で学ぶ「7つの習慣」その43

朝活主催の ゆう です。

このブログでは、世界的ベストセラー『7つの習慣』の内容を少しずつご紹介しています。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

続けてお話ししているのが、第4の習慣「Win-Winを考える」についてです。

『7つの習慣』では、私たちが他者と築いていくべき関係は「Win-Win(お互いに満足し、利益や成長につながる関係)」の関係(パラダイム)であると書かれています。

その「Win-Win」を構成する5つの側面が、

  1. 人格
  2. 人間関係
  3. 協定(合意)
  4. システム
  5. プロセス

です。

相手との関係がこれらの側面に沿っているかを確かめ、近づけていくことが、ビジネスでもプライベートでも望ましい結果を得るのに不可欠といわれています。

前回は、3番目の側面である「協定」について詳しくお話ししました。

前回の記事はこちら

Win-Winを考える8-結ぶべき協定の5つの要素と、マネージャーの典型的な誤りとは?|朝活で学ぶ「7つの習慣」その42
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「Win-Win」の関係で結ぶべき実行協定は、5つの要素で構成されています。

その5つの要素とは

  1. 望む結果(いつまでに、何を達成するのか ※手段を除く)
  2. ガイドライン(守るべき基準)
  3. リソース(望む結果を達成するために使える人員、資金、技術、組織のサポート)
  4. アカウンタビリティ(結果を評価する基準、評価する時期)
  5. 評価の結果(望む結果を達成したらどうなるのか、あるいは達成できばければどうなるのか)

であり、これらの要素を明確することで適切な協定となります。

ここで重要になるのは、「Win-Win」の土台である信頼関係をしっかりと築いておき、相手をいぶかって細かく指示したり、監視の目を光らせたりしないことです。

手段にばかりこだわっては、なかなか望む結果を得られないばかりか、相手の成長も妨げてしまいます。
相手を全面的に信頼し、手段を押しつけないことが、望む結果にも相手の成長にもつながっていくのですね

今回は、適切な実行協定を結び直したことで短期間で望む結果を実現させた、大手銀行の社員研修の例をご紹介します。

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劇的な変化がもたらされた管理職研修プログラムの例

ある大手銀行のコンサルティングにコヴィー博士が関わっていたときのこと。

銀行の望みは、年間75万ドルもの予算を投じている管理職研修の見直し・改善でした。

その研修プログラムは、大卒社員から管理職候補を選抜し、計12の部門にそれぞれ2週間ずつ、6カ月にわたって銀行業務全般の経験を積ませる、というのもので、この半年の研修を終えた者が支店長代理として、各支店に配属されるのです。

コヴィー博士がこのプログラムの研修期間が妥当かどうかの評価作業に入ったとき、一番困ったのは、銀行が研修の成果として望んでいることがいま一つ、ハッキリしなかったことです

「研修を終えた時点で、どのような能力が身についていればよいのですか?」というコヴィー博士の質問に、経営陣の1人の答えは曖昧で、矛盾したものであったのです。

「望む結果」は、実行協定の最初に挙げられている要素であり、これが不明確では、そもそも望む結果は得られず、手段も無駄の多いものになってしまいますね。

実際にこの研修プログラムは手段ありきで、望む結果にフォーカスされていませんでした。

「セルフ・コントロール型研修」への変更

そこでコヴィー博士は、実行協定の5つの要素(望む結果、ガイドライン、リソース、アカウンタビリティ、評価の結果)をあらかじめ決めておく、「セルフ・コントロール型研修」への変更を提案したのです。

この場合の「評価の結果」は支店長代理への昇進であり、支店長代理になれば現場でのOJT(On the Job Traininng-企業内教育)を受けられ、給料も大幅にアップします。

そして最も困難だった、各部門での研修の目標も、経営陣に繰り返し質問をすることで、明確化されのです(最終的に39の具体的な目標が設定され、目標達成基準も決められました)。

このように昇進と、昇進の基準がハッキリしたことで、研修生たちは早く目標を達成しようと意欲的になりました

コヴィー博士が管理職候補に、セルフ・コントロール型研修について説明をし、研修が始まると、研修はわずか3週間半で終わったのです(従来の管理職研修は6カ月かかっていました)。

彼らは、コヴィー博士も信じられないような意欲と創造力を発揮したのですね。

セルフ・コントロール型研修では目標が明確化されたことで、管理職候補だけでなく、企業にとっても、研修期間が短くなり、かつ昇進の基準もしっかりと満たした支店長代理が得られるという利点もありました

ところがなかには、新しい研修方法に抵抗を感じる人もいます。

「もっと経験を積ませたほうがいい」と考える人たちです(その本音は、「我々の若い頃はとても苦労したので、今の若者たちにラクをさせるのは気に食わない」というものです)。

しかし実際は、このような手段重視の研修では目標にコミットできず、期間も長期化し、無駄が多くなってしまいます。

目標・リソース・アカウンタビリティを明確化し、自由裁量が与えられることで、個人と組織には驚くほどの素晴らしい成果がもたらされることが、この事例からよくわかります

 

これはあらゆる活動に応用できる考え方であり、ぜひこれまでのパラダイムにおける協定を見直すきっかけとしていただければと思います。

次回は、Win-Winの5つの側面の4番目である「システム」についてお話ししていきます。

まとめ

  • 私達が他者と築いていくべき関係(パラダイム)は「Win-Win(お互いに満足し、利益や成長につながる関係)」であるといわれています。「Win-Win」を構成する側面の1つが「協定」です
  • 「Win-Win」の関係で結ぶべき実行協定は、以下の5つの要素があるといわれています
    1. 望む結果
    2. ガイドライン
    3. リソース
    4. アカウンタビリティ
    5. 評価の結果
  • コヴィー博士がコンサルティングをしていた大手銀行では、管理職研修で望まれている成果(研修後に研修生はどのような能力を身につけているべきか)が不明確であり、望む結果が得られていませんでした(そもそも、望む結果が何かがわかっていないのが原因でした)
  • コヴィー博士は実行協定の5つの要素をあらかじめ決定し、「セルフ・コントロール型研修」への変更を行ったところ(特に昇進と、昇進の基準をハッキリさせた)、研修生たちはいち早く目標を達成しようと意欲的になり、企業にとっても研修期間が短くなり、能力の伴った支店長代理が得られるというメリットが生じました

続きの記事はこちら

Win-Winを考える10-問題は人ではなくシステム?「Win-Win」を実現するシステムのポイント|朝活で学ぶ「7つの習慣」その44
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