メッセージ化6-使い勝手が良くてスタンスもとれる、2つの”ソフトな否定”とは|『超・箇条書き』から学ぶ伝える技術18

朝活主催の ゆう です。

このブログでは、『超・箇条書き』(杉野幹人著)を参考にさせていただき、「箇条書き」のスキルを続けてご紹介しています。

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術

箇条書きは短く、わかりやすく伝えるのに有効なツールです。
しかし箇条書きを単に使っていては、魅力的に伝えることはできません。魅力的に伝え、相手の心を動かしてこそ伝える価値が出てきます。

本来の価値を発揮させ、箇条書きを使いこなすには、短く、わかりやすく、そして魅力的に伝えるためのスキルを学び、定着させる必要があるのですね。

それを身につければ、会社のプレゼン、企画書の作成、メールでの報告など、あらゆる点で生かされます。

その箇条書きのスキルには

  1. 構造化
  2. 物語化
  3. メッセージ化

の3つがあり、前回は3番目の「メッセージ化(相手の心に響かせ、行動を起こさせること)」のための2つ目のコツ「『否定』で退路を断つ」についてお話ししました。

前回の記事はこちら

メッセージ化5-印象を強められる!“否定”による立ち位置の明確化|『超・箇条書き』から学ぶ伝える技術17
朝活主催の ゆう です。 このブログでは、『超・箇条書き』(杉野幹人著)を参考にさせていただき、わかりやすく話を伝えるための「箇条書き」のスキルをご紹介しています。 超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術 ...

「『否定』で退路を断つ」というのは、「何を否定しているか、何をやらないかをあえて明示してしまう」ことであり、そのように否定を使うことで自分のスタンスが明確になり、相手の心に響くメッセージとなり得ます。

ただ、はっきりした否定の表明は強力であるがゆえに、使用を躊躇してしまうことも多いでしょう。

そのときに使いたいのが、絶対的な否定ではなく“相対的な否定”です。

今回は、相対的な否定について詳しくお話しします。

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ソフトな否定① 比較による否定「AよりもBだ」

相対的な否定、ソフトな否定の1つが、「AよりはBだ」という、比較によって否定のニュアンスを出すことでスタンスをとる言い方です。

AよりもBのほうがよい、といっているので、単にBがよい、という言い方より立ち位置が明確になっています。
しかしそれでいて、Aを否定しているわけではありません。これがまさにソフトな否定ですね。

具体的に、以下の例が紹介されていました。

  • 当面は売上を追求する
  • 当面は利益よりも、売上を追求する

「当面は売上を追求する」だけでは、見る人によっては「企業として売上を追求するのは当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。
これだけでは、その文の背景、意図していることが明確ではありませんね。

そこで比較による否定、「当面は利益よりも、売上を追求する」と言い換えたならどうでしょうか?

そのようにすることで、「利益よりも、まず売上を追求するというのは、早めにトップシェアを取って、競合を市場から追い出し、新規参入も阻止するという戦略なのだな」と、なぜ売上を追求するのかという立ち位置が明確になりますね。

相手に意図が伝わり、関心を引きつけることができるでしょう。

ソフトな否定② 出発点の明示「AからBになる」

ソフトな否定にはもう1つあると紹介されています。

それが「AからBになる」という、もともとの出発点を入れることで否定のニュアンスが出る言い方です。

こう言うことで、「もうAでない」ということが伝わり、Bであることが強調されることになります。

具体例として、以下の1990年台後半のNTTドコモのスローガンが紹介されていました。

ボリュームからバリューへ

当時はポケベルのほうが携帯電話加入者よりも多い時代だったそうです。なので携帯電話の販売台数もまだまだ伸びていて、その先5年後の伸びも予想ができたといいます。

しかしドコモはさらにその先の販売数が伸び悩む時代を考え、先手を打って、質や価値(バリュー)を追求する方針を社内外に打ち出したのですね。

このように、出発点を明示し現在の方針もより明確になったことで、社員にもその方針がしっかりと浸透していき、その後の質の高いサービスの提供と普及につながった、といわれています。

このように、絶対的な否定が使えず、スタンスをとりづらいときに、比較による否定や、出発点を明示することによる否定は使い勝手がよさそうですね。

ぜひ、これまで作成した文章の中で否定を使用した表現に言い換えられるところがないか、探してみてください。

まとめ

  • 超・箇条書きのスキル「メッセージ化」のためのコツの2つ目が「『否定』で退路を断つ」です。「何をやらないかを明示する」ことで、自分のスタンスが明確になり、相手の心に響くメッセージとなり得ます
  • はっきりとした否定は使いづらいという場合は、ソフトな否定、相対的な否定の使用が勧められています。以下の2つのやり方が紹介されていました
    1. 比較による否定「AよりもBだ」-
      単にBがよい、というより立ち位置が明確になり、それでいてAを完全に否定してはいないため、使いやすい言い方です(例:当面は利益よりも、売上を追求する)
    2. 出発点の明示「AからBになる」-
      もともとの出発点を示すことで否定のニュアンスを出すことができ、現在の方針をより明確にすることができます(例:ボリュームからバリューへ)

続きの記事はこちら

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