心理学ワークショップ主催の ゆう です。
今回のワークショップには初めての方3名を含む、7名の方にご参加いただきました!
台風が近づき、悪天候に見舞われたなかでしたが、それにもかかわらず多くの方にご参加いただけました。
誰も来られないかと思っていので、喜びもひとしおでした(T_T)
今回は、「自己犠牲をして疲弊し、燃え尽きてしまう人と、他者のために行動をしながらも自分を犠牲にせず、自分を守れる人の心がけの違い」についてディスカッションをしました。
他者貢献は当然素晴らしいことですが、自分を犠牲にして精神的に疲れてしまうのは良くないですね。
そうならないための心がけについて学びを深めました。
ディスカッションすることで、自分の普段の言動を客観的に振り返ることもできるのもいいですね。
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『GIVE&TAKE』から知る、人間の3つのタイプ
今回のテーマは、
行動心理学から学ぶ「良好な人間関係を築く“GIVEの精神”」
についてでした。
このテーマでは、ペンシルベニア大学ウォートン校のアダム・グラント心理学教授が書かれた『GIVE&TAKE』の内容をメインでお話ししています。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
『GIVE&TAKE』の中でグラント教授は、3万人以上を対象にした調査をもとに、「取る」「与える」という観点から人間を3つのタイプに分類しました。
その3つのタイプは、
- ギバー(Giver)―受け取るより以上に相手に与えようとする
- テイカー(Taker)―与えるより多くを受け取ろうとする
- マッチャー(Matcher)―与えることと受け取ることのバランスを取る
です。
この3つのタイプのなかで、最も割を食っているタイプ、損をしているタイプはどれだと思いますか?
それはギバーです。
ギバーは多くを与えようとする、良い人であるがゆえに、テイカーにだまされやすく、利用されやすいのです。
実際にテイカーに比べて収入は平均14%低く、犯罪の被害にあうリスクは2倍という調査結果が出ています。
では、最も成功しているタイプはどのタイプだと思いますか?
実はそれもギバーです。
なぜこのようになるかというと、ギバーに2通りあるからなのです。
1つ目は「自己犠牲型」のギバー、2つ目が「他者志向性」のギバーです。
自己犠牲型はその名の通り、見境なく、ひらすら相手に与えることで疲弊してしまったり、テイカーに利用されてしまったりするタイプです。
対して他者志向性のギバーは、他者に貢献をすることを第一に考えつつも、自分をしっかり守れるのであり、成功の階段から転げ落ちることなく着実にのぼっていき、最後は成功の階段の一番上にのぼることができるのです。
『GIVE&TAKE』では、どうすればその他者志向性のギバーになれるのか、そのための方法が紹介されています。
前回はその3番目のメソッドである「与えることが当たり前の環境に身を置く」について、「フリーサイクル」というサイトが急成長した例を紹介をしました。
前回の記事はこちら

今回は、メンバーをギバーにするグループの特徴について考察していきます。
人が与える理由とは?純粋に利他的か、それとも利己的か
フリーサイクルは、有志で品物を出し、それらをすべて無償で提供する、売買・交換は不可、というルールで運営をされていました。
そんなルールでうまく運営されるはずがない、と思われていたにもかかわらず、サイトは活気づき、サイトができて約2年後には会員数が100万人を突破したのです。
サイトがここまで急成長したのは、フリーサイクルの会員がすべてギバーとして行動していたからです。
それは、どの会員も(もともとはテイカーであった会員でさえ)、受け取った品の2.5倍以上を提供していた、という調査結果が出たことからわかります。
ではなぜフリーサイクルでは、会員すべてがギバーとしてふるまっていたのでしょうか? メンバーをギバーにするグループの特徴とは何なのでしょうか?
これについては、そもそも「人が与える理由」を考えるところから始めてみましょう。
「人が与える理由は、純粋に利他的だからなのか?または利己的なのか?」と聞かれたら、どう答えられるでしょうか。
「人には他人を思いやる気持ちがあるから与えるのだ、人はそもそも利他的なのだ」と思われるでしょうか。
それとも「残念なことだが、人には純粋に相手を思いやる気持ちはない。相手に与えるのは、あくまで見返りを求めてのことだ。人間は打算的なのだ」と思われるでしょうか。
人は、“相手の中に自分自身を見出した”ときに助ける
その人が与える理由について、グラント教授はこう語っています。
困っている相手を自己意識に同化させ、相手のなかに自分自身を見出すのである。
これこそが、私たちが人助けをする理由なのだ。
つまり、実際には、自分自身を助けているのである。
私たちは相手の中に自分自身を見出す、つまり相手を自分のことだと思えるときに、その自分自身を助けるために相手を助ける、ということなのですね。
よって人助けの理由は、自分自身を助けるという点では利己的だが、実際に相手を助けているという点では利他的。つまり、利己的であり利他的である、というのが結論です。
このことから、人をギバーとして振る舞わせる理由が導き出されます。
それについては次回、ご紹介していきます。
まとめ
- ペンシルベニア大学ウォートン校の心理学教授 アダム・グラント氏は、人間を3つのタイプに分類されました。それが「ギバー・テイカー・マッチャー」です
- 最も損をしているのも、最も成功しているのもギバーであることがわかっています。それはギバーには他者志向性と自己犠牲型の2通りがあるからです
- 成功の階段の1番上にのぼれる他者志向性のギバーになるには、「メンバーがギバーとして振る舞う、与えることが当たり前の環境」に身を置くことも大切です
- メンバー全員がギバーとして振る舞うグループの特徴は、人が与える理由を知るとわかってきます。人は困っている相手のなかに自分自身を見出したときに人助けをする、つまり自分自身を助けるために相手を助けるのです。ゆえに人間は利己的であり利他的だといわれています
続きの記事はこちら

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