朝活主催の ゆう です。
このブログでは、わかりやすく相手に話を伝えるための箇条書きのスキルをご紹介しています(『超・箇条書き』(杉野幹人著)を参考にさせていただいています)。
短く、かつ魅力的に伝える箇条書き(=超・箇条書き)のスキルには
- 構造化
- 物語化
- メッセージ化
の3つがあります。
前回は、2番目の「物語化(相手が思わず読みたくなるよう、関心を引くこと)」のための工夫の1つである「イントロづくり」について、具体例を通してお話ししました。
前回の記事はこちら

今回は、物語化の工夫の2つ目「MECE崩し」をご紹介していきます。
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「MECE(=漏れなく、ダブりなく)」の有用性と、その弊害
「MECE崩し」の「MECE(ミーシー)」とは、
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
の略で、「漏れなく、ダブりなく」という意味です。
このMECEを取り入れることで、ある事柄について重要事項の抜け漏れを防ぐことができ、また重複も避けることができます。
もともとは外資系コンサルで使われていたそうですが、いまでは広く一般に使われていますね。
具体的には、以下のようなものがMECEの例です。
- 地球
- 北半球
- 南半球
地球は北半球と南半球に分けられ、これ以外にはないので、ダブリがなく、漏れもないですね。
- 週
- 月曜日
- 火曜日
- 水曜日
- 木曜日
- 金曜日
- 土曜日
- 日曜日
週も月曜日から日曜日に分けられ、この7日以外にはありません。よってこれらもダブりも漏れもありません。
- 売上
- 国内の売上
- 海外の売上
グローバル企業であれば、売上が大きく国内と海外に分けられ、このカテゴリー内ではそれ以外のものはなく、これもダブりも漏れもないMECEの例ですね。
このMECEを使用することで物事を漏れなく、わかりやすく捉えられるという利点があります。
しかし物語化にとっては、このMECEは使い方次第では弊害となり得るのです。
優先度の低い情報まで伝えていませんか?
MECEの弊害、それは「漏れなくダブりなくすることで、フック(関心を引く文)をなくしてしまう」ということです。
前回の記事でもご紹介した、新入社員Aさんの作成した箇条書きを例に見てみましょう。
物語化のための1つ目の工夫「イントロづくり」を意識し、上司が期待すること(この場合は来年の営業成績)を文頭に置くことで、関心を引く箇条書きとなりました。
- 目標とする営業成績は売上3億円である
- このために、4つの改善策をとる
- 大口の顧客には、先輩社員に協力をしてもらって価格交渉し、販売単価を上げる
- 中堅の顧客には、関連商品も併せて提案し、販売数を伸ばす
- 小口の顧客には、今までどおりにコンタクトをとり、販売を促進する
- 超小口の顧客には、今までどおりにコンタクトをとり、販売を促進する
しかし最初に関心を引くことに成功しても、その後に集中を削ぐような書き方があれば、最後まで読んでもらえなくなります。
この箇条書きには、その集中を削ぐ箇所があるのです。それが4つの改善策を伝えているところです。
顧客を「大口・中口・小口・超小口」を規模に応じて4つに分けて、それぞれの改善策が示されています。
このように顧客をMECEに分けることで「漏れなく、ダブりなく」情報を伝えていることは確かです。
けれどここで考えるべきは、「小口・超小口」の顧客の改善策は上司に伝える必要があるか、ということですね。
今までどおりのやり方で、とあるので、特に新しい情報はありません。「推進する」という具体性を欠いた言葉が使われているだけです。
この場合、優先度の低い情報も漏れなく伝えがために、上司の関心が薄らいでしまうでしょう。
MECEで伝えたことで優先度の低い情報、目新しくない情報まで伝え、関心を引けなくなってしまう。これがMECEの弊害なのですね。
「MECE崩し」で相手の関心を最後まで引く
このMECEの弊害を取り除けるのが、あえてMECEにこだわらない「MECE崩し」の工夫です。
以下のように「小口・超小口」の改善策は思い切ってなくなしてしまったほうが、上司は関心を持ち続け、最後まで目を通してくれるでしょう。
- 目標とする営業成績は売上3億円である
- このために、2つの改善策に集中する
- 大口の顧客には、先輩社員に協力をしてもらって価格交渉し、販売単価を上げる
- 中堅の顧客には、関連商品も併せて提案し、販売数を伸ばす
イントロで相手の期待に応えるのに加えて、関心が薄まることのないよう、重要度の低いことは伝えない。
この「MECE崩し」によって、相手を最後まで惹きつけて、伝えるべき情報をスッと相手に伝えることができるのです。
「漏れなく、ダブりなく」を基本にしつつ、「これは優先度の低い情報、関心を引くにはむしろ不要な情報ではないだろうか」と考え、取捨を加えていきたいですね。
まとめ
- 超・箇条書きのスキル「物語化」の工夫の2つ目が「MECE崩し」です。MECEとは、「漏れなく、ダブりなく」のことで、物事をわかりやすく伝えられる反面、フック(相手を惹きつける要素)を薄めてしまう弊害があります
- 新入社員Aさんの目標・改善案を伝える箇条書きでいえば、今までどおり行う「小口や超小口」の顧客への対応は情報の有用性がないにもかかわらず、MECEを徹底して上司へ伝えると、関心度を下げてしまいます
- あえてMECEにこだわらず、重要度の低い情報は伝えずに相手の関心を維持する(先の例で言えば、「小口・超小口」の顧客の改善策は思い切ってなくしてしまう)、それが「MECE崩し」なのです
続きの記事はこちら

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