心理学ワークショップ主催の ゆう です。
今回のワークショップには初めての方5名を含む、11名の方にご参加いただきました!
寒の戻りのピークだそうで、真冬のような寒さ…。
雪混じりの雨まで降り出すという最悪な天候の中でしたが、参加予定の方がみなさん参加されて、本当に嬉しく思いました。
ワークショップではディスカッションや質疑応答も活発に行われ、とても密度の濃い時間を過ごすこ とができました(^^)
ワークショップでお話ししたことを ともに実践させていただき、より良い人間関係を構築していきたいと思います。
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「与える」「取る」の観点から知る、人間の3つのタイプ
今回のワークショップは、
「良好な人間関係を築く“GIVEの精神”」についてでした。
そこでご紹介した書籍が『GIVE&TAKE』です。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
こちらは、組織心理学者であるアダム・グラント氏(ペンシルベニア大学ウォートン校の心理学教授)によって書かれた本であり、24ヵ国語以上に翻訳された大ベストセラーです(といっても、私も友人に紹介してもらうまで知らなかったのですが…)。
この本には、「与える」「取る」という観点で、人間には3つのタイプがあると教えられています
(3万人以上を対象にした調査をもとに分類されたそうです)。
そのタイプとは、
- ギバー(Giver)―受け取るより以上に相手に多くを与えようとする
- テイカー(Taker)―与えるより多くを受け取ろうとする
- マッチャー(Matcher)―与えることと受け取ることのバランスを取る
の3つです。
この中で、グラント教授が勧めるタイプはギバーです。なぜかといえば、ギバーは最も成功しているタイプであることが調査結果からわかったからです。
ところがギバーには、最も成功から遠い位置にいるという調査結果も出ているのです。
同じギバーなのに、なぜこのような違いが生じるでしょうか。
それは、実は同じギバーといえど、まったく同じではないからです。
最も成功しているタイプのギバーは「他者志向性」、反対に最も成功から遠い位置にいるタイプのギバーは「自己犠牲型」であると明らかにされています。
ですからグラント教授が本当に勧めているタイプは、ギバーといっても、他者志向性のギバーなのですね。
では、他者志向性のギバーと、自己犠牲型のギバーの違いとはどこにあるのでしょうか。
前回は、他者志向性と自己犠牲型では、相手への信じ方が違うことをお話ししました。

他者志向性のギバーは信用が基本ながら、行動や評判から相手のタイプを判断し、適切な対応をします。
対して自己犠牲型のギバーは、いつでも、どんな人であっても相手を信用します。
ギバーにとって最悪の相性なのがテイカーです。
相手がテイカーであっても信用して与えようとすれば、やがて相手に利用され、搾取されたり燃え尽きてしまったりしてしまいます。
ゆえに他者志向性のギバーになるには、相手を見極めて、適切な対応することが求められるのです。
それでは、テイカーの見極めるにはどうすればいいのでしょうか。
“ハロー効果”の罠-愛想の良さに騙され、肝心の内側を見落としてしまう
テイカーを見極める上で特に注意すべきは、「愛想の良さ」です。
グラント教授はこのように語っています。
私たちには、愛想のいい人はギバーで、 無愛想な人はテイカーだという固定観念がある。
新しく知り合った人が、やさしそうで友好的に見えると、ついつい善人だと思ってしまう。
逆に、冷淡で敵対的な印象を与えれば、こちらのことなど気にもかけない人だと思うのだ。
しかしこうした判断を下す際、相手の表面的な態度にばかり注意を払いすぎて、その内側にある肝心なものを見落としてしまう。
愛想のいい人、人当たりのいい人と接すると、「この人は接しやすいからギバーだろう」、
反対に愛想の悪い人と接すると、「この人は無愛想だからテイカーに違いない」と、私たちは相手の表面的な部分のみでその内側まで判断してしまいがちです。
心理学の言葉に「ハロー効果」というものがあります。
ハローとは「halo(=後光)」のことで、人間には相手の一部分から全体を評価する心理があるそうです。
初対面の人に友好的にしてもらえたからといって、その人のすべてが素晴らしいかというと、それは早計な判断ですよね。
しかし私たちは証拠もないのに「あんなに笑顔が素敵なのだから、人格者に違いない」と思ってしまいます。
反対に、敵対的な態度を取る人に対しては「この人は人格的に問題がある」と思ってしまいます。しかしそれにも断言できるだけの十分な材料はないはずですよね。
表面的にはいい人そうで実は悪巧みをしている、いわゆる詐欺師タイプの人もいれば、無愛想だけど根はとてもいい人で、情に厚い人もいます。
詐欺師タイプとの付き合いは避け、表情には出ないが情に厚いタイプの人とは多く接するべきですよね。
しかしハロー効果によって私たちは肝心の内側を見落として、まんまと詐欺師に騙されてしまうのです。
では見かけの良さに騙されることなく、相手がどのタイプか見極めるにはどうすればいいのでしょうか?
それについて、イギリスの文学者であるサミュエル・ジョンソンは
自分にまったく利益をもたらさない人間をどうあつかうかで、その人がどんな人間かがはっきりわかる
と言っているのです。
この言葉の意味については次回、詳しくお話しします。
まとめ
- 組織心理学者のアダム・グラント氏は、人間を3つのタイプ(ギバー・テイカー・マッチャー)に分類されました。このなかで最も成功しているのも、最も成功から遠い位置にいるのもギバーといわれてます
- 成功においてギバーが大きく2つに分かれるのは、他者志向性と自己犠牲型があるから、といわれています。他者志向性のギバーは信用を基本としながらも、行動や評判から相手のタイプを判断し、適切な対応をするため、利用されることなく成功できるのです
- 相手がテイカーかどうかを見極めるときに注意すべきは「愛想の良さ」です。私達には愛想のいい人はギバー、無愛想な人はテイカーという固定観念があります。相手の一部分から全体を評価する傾向を「ハロー効果」ともいいます
- ハロー効果にとらわれると、いい人を装って実は悪巧みをしている詐欺師(テイカー)にだまされることになってしまいます。愛想のよさにだまされずに、相手の内側を見ることが肝心なのです
勉強会に参加された方の感想
○他者志向性のギバー。義務感から与えない。施す時には相手を選びなさい。色々と心に刺さる内容でした。
今回は昼間だったので、参加されたみなさんとお話する時間があって良かったです。
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